Review

BROCKHAMPTON: Saturation III

2017 / EMPIRE
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15 January 2018 | By Daichi Yamamoto

14人というメンバーの多さ、自分たちを”ボーイバンド”と名乗っていること、全員がカリフォルニアの一つの家で共同生活していること、マーチにMV、自分たちをドキュメントしたテレビ番組まで手がけてしまっていること、兎に角ブロックハンプトンはあらゆる点でヒップホップの既成概念をぶっ壊している。昨年発表した3部作の『Saturation』シリーズは一年を通して彼らへの注目を保たせたが、特に年末に上梓された最終作は、グループとしてのユニークさ以上に作品としても彼らが強くアピール出来ることを証明している。

リリックのテーマは、ドラッグやセックス、リッチさについて、ではなく、アイデンティティや孤独感、不安についてが多く、歌詞をなぞりながら聴いていけばインディ・ロックを聴いているような心地にさえなる。だが、そのテーマ設定自体は決して意図的ではないのだろう。これだけメンバーがいるのだから当然のこと、人種、セクシャリティ、抱える/ていたものはそれぞれだ。自由に別々の体験・境遇を歌うし、MVからはひたすらに皆が好き勝手にやっている様子が伺える。その斬新さから彼らをオッドフューチャーと比較するのも納得ではあるが、それだけでは彼らへの理解は進まない。その自身を曝け出すことへの遠慮の無さは、示唆的だったフランク・オーシャンやタイラー・ザ・クリエイターを思い出してみれば別物だし、何より楽曲のキャッチーさを追求する姿勢は周囲の反応なんて何のそのという感じだった初期のオッドフューチャーとは対照的だ。しかも、ネプチューンズを思わせる陽気なグルーヴ、歌が中心になるメロウな曲、映画のワンシーンのようなスキットなど、ヒップホップとポップの合間をシームレスに動き回るそのセンスは作品を出すごとにより磨きがかけられた。「ワンダイレクション以来のベスト・ボーイバンド」(「BOOGIE」)が大袈裟でなくなる日は遠くないはずだ。(山本大地)

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http://brckhmptn.com/

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