「不条理な状況でも踊りながら前に進むための力を」
韓国インディの新星、ピーチ・トラック・ハイジャッカーズ来日直前インタヴュー
Hyukohやシリカ・ゲルといったバンドを筆頭に、日本でも徐々に注目を集めている韓国のインディ・シーン。洗練されたモダンなサウンドで人気を博するバンドも多い印象だが、その中にあってガレージ・ロック・リバイバルを彷彿とさせる荒々しいサウンドと、“Fuck you! Fuck you!” とシャウトするストレートなリリックで筆者の耳を捉えたバンドがいる。彼らの名前はピーチ・トラック・ハイジャッカーズ(PTH)。2024年の結成から地道なライヴ活動で着実に韓国国内のファンを増やし、昨年には待望のファースト・アルバム『Peach Truck Hijackers』をリリース、まもなく初の来日公演が行われる。
今回のインタヴューはオンラインで行われ、ソウルからメンバー4人全員が参加してくれた。数年前からソウルや釜山のライブハウスに足を運ぶ傍ら、自らも京都を拠点にバンド活動(The World Will Tear Us Apart)を続けている筆者が、バンドとしてのあり方や韓国のインディ・シーンについて率直な疑問をぶつけてみた。
(インタヴュー・文/大橋翔司 通訳/山本大地)
Interview with Chung-Kyoung Lee, Jeonghyo Lee, Gyuri Kim, Sejeong Lee
──まず、お一人ずつ自己紹介をお願いできればと思います。
Chung-Kyoung Lee(以下、C):イ・チョンギョンです。ギターとボーカルを担当しています。曲も書いています。
Jeonghyo Lee(以下、J):イ・ジョンヒョです。ギターを担当しています。
Sejeong Lee(以下、S):私はイ・セジョンです。ドラマーです。
Gyuri Kim(以下、G):私の名前はキム・ギュリです。ベースを弾いています。
──PTHは大学のデザイン学科で結成されたバンドだと聞いています。日本のインディー・シーンでは大学の軽音サークル文化の影響が強く、サークルで出会ってバンドを結成し、その後大きく活動を展開していくケースも多いです。韓国にも、同じようなバンド系のサークル文化があるのでしょうか。
C:似たようなものはあると思います。私自身も大学に入って、バンドサークルで活動するなかで、バンドをやることについていろいろなことを初めて学びました。セジョンやギュリも、大学のバンド・サークルに入ってから楽器を始めています。なので、日本のサークル文化を実際に経験したことがないので、どれくらい似ているのかは分からないんですが、韓国にもバンドサークルはありますし、実際にかなり多くの人がそこで活動していると思います。ただ、私たちはサークルで出会ったわけではあるんですけど、今のバンドシーンで活動している友達を見ても、サークルで始めたバンドをそのままずっと続けているバンドは、あまり見ない気がします。ほかのインディーシーンの友達を見てもそうですね。
──サークル時代にはカヴァーをやっていたのでしょうか。どのようなアーティストの曲をとりあげていましたか。
S:バンド・サークルにいた頃は、カヴァーをすることが多かったですね。どんなメンバーで組むかによって演奏する曲は毎回違ったんですが、主に韓国の有名なインディー・バンド、例えばHyukohやThe Black Skirts、THORNAPPLEあたりをよくカヴァーしていました。たまに ミューズやメタリカみたいな有名な海外バンドの曲もやっていたと思います。
G:それから、私たち4人がカヴァー・バンドだった時代にやっていたのはマイ・ケミカル・ロマンスとかニルヴァーナ、レッド・ツェッペリン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、アークティック・モンキーズとか……わりとポピュラーなロック・バンドですね。そういうバンドたちの、盛り上がる曲を1年くらいカヴァーしていて、その後、チョンギョンがバンドを始めて1年目くらいの時に曲を持ってきてくれて。それからはオリジナル曲でライヴをするようになりました。
──では、バンドが結成された経緯についても、お話を聞かせていただきたいです。
C:私とジョンヒョはドイツに交換留学に行って、そこで仲良くなったんです。そこで私がギターを弾いているのを見て、ジョンヒョが「自分もギターを始めたい」と言って、ギターを始めました。それで、私たちも交換留学を終えて韓国に戻ってきて、「一緒にスタジオに入ってみよう」と話して、ある日の夜に二人でスタジオに入る予定を立てていたんです。そしたら、大学でたまたまセジョンに会ったんですよ。セジョンが、サークルでやっている曲にちょっと飽きたというか……ドラムも同じようなパターンばかり叩いていて、あまり面白くなくなってきたという話をしていて。それで「今日スタジオに入るんだけど、一緒に来る?」って聞いたら、「行く」と言ってくれました。
それで、ドラムとギター2人は揃ったんですけど、ベースだけいなかったので、「ベースはいないかな」と考えていたら、サークル活動をしていた時に知り合ったギュリのことを思い出して。連絡してみたら、「今度一緒にスタジオ入ろうよ」って言ってくれたんです。それで「今日スタジオに行くんだけど、来る?」って聞いたら、「行く」って。それで当日、急に4人全員が集まってスタジオに入って、特にやる曲も決めていなかったので、とりあえずめちゃくちゃな感じで合わせてみたんですけど、それがすごく楽しくて、結構うまくいったんですよ。それで「またやろうよ」ってなって、それから定期的にスタジオに入って、カヴァー曲を練習したりするようになって。そこからオリジナル曲もやるようになって、今に至ります。
──まさに運命的な出会いだったんですね。そこから皆さんは地道なライブ活動を続け、昨年ファーストアルバムをリリースされました。ここからはアルバムの内容や、収録曲についてお聞きしたいと思います。まず、代表曲とも言える「Fuck You」は、タイトル通り怒りをストレートに表現した曲ですよね。一方で、途中に出てくるツイン・ギターのソロにはユーモラスな感じがありますし、ミュージックビデオもユーモアに溢れています。また、「Twisted Lips」も歌詞はシリアスな内容ですが、サーフロック的な展開があって楽しげな雰囲気があります。みなさんは、自分たちの音楽を通して、どんな感情を表現していると思いますか。
C:「Fuck You」の途中にある、ああやって音を積み重ねていくような部分というか……「Fuck You」自体、歌詞はかなり相手に向かって怒りをぶつけるような内容なんですけど、ギターリフ自体はすごくリズミカルで、ちょっとファンクっぽくもあって。だから、歌詞も怒っていて、音楽もずっと怒っているというよりは、そこを少しユーモラスに表現したかったんだと思います。
それから「Twisted Lips」は、歌詞自体はシリアスなんですけど、結局は、ねじれた世界の中でも、それでも踊りながら生きていかなきゃいけない、というような内容です。なので、全体的に自分たちが音楽を通してどんな感情を表現しているのかと考えると、まず、怒りや不条理な状況に直面したときに、そこであまりにも落ち込んで立ち止まってしまうのではなくて、踊りながら前に進むための力を得よう、というようなことを表現しているんじゃないかなと思います。
──ネガティヴな感情を抱えながらも、そこにポジティヴなエネルギーも同時に込めているところがPTHの魅力なのかなと思います。ところで、「Fuck You」のMVが本当に好きなんですが、あのビデオは誰のアイデアだったんですか。
C:私たちの映像制作を手伝ってくれている友達がいるんです。大学の後輩なんですけど、アルバムのリリースが間近になった頃に、その子と私で会って、「ミュージック・ビデオをどうしようか」と打ち合わせをしていました。そしたら、その子が突然、「お姉さん、あの……Fuck Youの指の形をした馬を走らせたらどうですか?」って言ったんですよ。それで私が「それどういうこと?(笑)でも、まあ面白そうではあるね」って言ったんです。そしたら、リリース日が本当に近づいてきた頃に、その子が本当にそのMVを作って持ってきたんです。「うわ、本当にヤバい人だな」って思いました(笑)。
──アルバムの収録曲はガレージロック・リバイバルの影響を最も強く感じましたが、とくにアルバム後半の楽曲はそれに留まらない多様な音楽性も感じさせます。メンバーそれぞれの個性や好みが混ざり合って作られている音楽なので、一曲ずつ「これは誰の色」と分けて考えるのは難しいと思うんですが、それでもあえて挙げるとしたら、それぞれの個性や音楽的な好みが一番よく表れていると思う曲はどれでしょうか。その理由も含めて、メンバー一人ずつお聞きしたいです。
J:私は「Radio Radio」です。一番好きな曲でもありますし、普段から一番よく聴いているタイプの音楽だと思います。一番ポストパンクっぽいというか、ドラムのサウンドもそうですし、曲の構成も好きで。10曲の中で考えると、一番自分らしいかなと思います。
C:「Twisted Lips」と「Compressed Annoyance」だと思います。「Twisted Lips」は、10曲の中でも個人的に好きな曲ですし、何より自分が書いた歌詞の中でも一番気に入っているので。それから「Compressed Annoyance」は、自分が曲を書くときの特徴が結構出ていると思います。小さなリフをひとつ作って、それを繰り返したり、変化させたりしながら積み重ねて、曲全体を作っていくというのが私の作曲スタイルなんですけど、「Compressed Annoyance」はまさにそういう作り方をしたので、自分の特徴がよく出ていると思います。
G:私はは自分の好みをみんなにめちゃくちゃ主張して、全然譲らないので、「もっとこういう音を入れてほしい」ってかなり要求しました。実際、「Compressed Annoyance」ってベースだけになるところが結構あるじゃないですか。だから、私がやりたかったファズの音がよく聴こえる部分も多いと思います。
S:演奏していて楽しいのは「Fuck You」なんですけど、個人的な好みが一番出ている曲は「Two Songs」です。性格の違う2曲が、タイトルからも分かるようにひとつに合わさっている感じがすごく好きで。そういう音楽も普段からよく聴いています。それに、まるでパート1、パート2みたいに曲の流れが変わっていく感じもあって。その流れが変わる中でも、音楽としてちゃんとつながっている部分があると思うんです。そこが面白いですね。「Two Songs」を作ったときのことをメモしていたものがあったので、今ちょっと探してみたんですけど……。なんでこんなふうに書いたのかは分からないんですが、パート2の静かなところから一気に盛り上がる部分について、「パート2はみんなでわんわん泣いている感じ」って書いてありました(笑)。実際にはわんわん泣いているわけじゃないんですけど(笑)、私たちの曲の中でも、喜びも感じるし、何かゾクゾクするような感覚もあるし、さらにわんわん泣きたくなるような感情もある。いろんな感情を同時に感じられる曲なんじゃないかなと思って。この曲が一番好きです。
──お話を聞いてから改めて曲を聴くと、それぞれのメンバーの好みや個性がよりよく感じられそうですね。アルバム収録曲の「Dreamgazi」は、造語ですよね。これはどういう意味が込められているんでしょうか。
C:実はちょっとしょうもない由来なんですが……秘密にしておきますか? それとも、真実を知りたいですか?(笑)
──せっかく聞ける機会なので、ぜひ知りたいです(笑)。
C:英語のミームで、「shoegaze をバンドの Fugazi みたいに発音すると、みんながキレる」みたいなものがあるんですよ。つまり、「shoegaze」を「shoegazi」みたいに発音すると、シューゲイズのファンがすごく嫌がる、というミームがあって。それで曲を作ったあと、「タイトルどうしようかな」と考えていたんですけど、この曲がちょっとシューゲイズっぽくもあるし、ドリームポップっぽい感じもあるなと思って。それで、とりあえず仮タイトルみたいな感じで「Dreamgazi」って付けたんです。でも、いざアルバムをリリースする時期になったら、メンバーたちが「これ、“ドリームガジ”のままでどうするの?」って言い始めて(笑)。でも、本当にほかにいいタイトルが思いつかなかったので、そのまま「Dreamgazi」を正式なタイトルにしました。
──検索しても出てこなかったので韓国語の言葉遊びなのかなと思っていたのですが、英語のミームだったのですね(笑)。英語の歌詞と韓国語の歌詞はどのように使い分けているのでしょうか?
C:特に意識して分けているわけではなくて、単純に曲に自然に合うほうの言語で書いているんだと思います。「今回は英語で書こう」とか、「今回は韓国語で書こう」と意図的に決めたことは、あまりないですね。私は普段、日記みたいに書き留めている文章から言葉を拾って歌詞を書くことが多いんです。なので、そのときに自分が使っていた言語が英語だったのか韓国語だったのか、それをそのまま歌詞に持ってくることが多いです。あとは、単純にその曲に合う音節や響きの言葉を選んでいく感じですね。
──PTHの楽曲には、気候変動や差別など、社会的なテーマを扱った曲も多いですよね。また、《Pentaport Rock Festival》のステージで、チョンギョンさんがパレスチナ国旗のバッジをギター・ストラップにつけて演奏している映像も見ました。日本でも、アジアン・カンフー・ジェネレーションのように、音楽や音楽以外の活動を通して社会的なメッセージを発信しているバンドがいます。一方で、そうした活動をするミュージシャン自身も、様々な反応を考えるとプレッシャーや抵抗感を感じることがあると思います。みなさんにとって、社会的なことについて発言したり、音楽や活動を通して社会的なメッセージを発信したりすることは、ごく自然なことなのでしょうか。
C:パレスチナの国旗のバッジは、私自身もパレスチナで起きていることについてすごく心を痛めていたんですが、ちょうど《DMZ Peace Train Music Festival》に出演したときに、友達がプレゼントしてくれたので、それをつけてライヴをしました。社会的なメッセージを音楽や活動を通して表現するというのも、「表現しなきゃ」と思ってやっているわけではなくて、私が普段考えていることが、そのまま音楽を作ったり活動したりする中に出てくるものじゃないですか。普段からそういう社会的な問題について考えているので、それが自然に出てくるんですよね。
それから、そういうことに対するプレッシャーや抵抗感についても質問がありましたけど、私はむしろ「だから何?」っていう感じで(笑)。「自分はこう思っているんだけど、それがどうしたの?」というか、そういう抵抗感はあまりないです。ただ、「プレッシャー」という意味で言えば、自分の考えがもしかしたら間違っているんじゃないか、という不安はあります。同じことを考えていたとしても、人によって少しずつ意見が違うこともありますよね。なので、そういう部分についてのプレッシャーは少しあります。でも、自分の考えを表現すること自体にプレッシャーを感じることはないです。
──そうした姿勢に影響を与えたバンドやミュージシャン、あるいは人物がいたら、ぜひ教えてください。
C:特に影響を受けたバンドやミュージシャンということで言うと……少なくとも今回の《Pentaport Rock Festival》以前のことを考えると、私が好きなバンドやミュージシャンは、みんな自分の好きなようにやっている人たちだったんです。そういう、自分の好きなようにやる姿勢というか、自分が考えていることのままに行動する人たちが好きなんだと思います。もちろん、「好きなようにやる」というのも、悪い意味でそうしている人もいると思うんですけど、そういうことではなくて、自分が信じていることや、自分が支持している考えに対して、正直に行動している人たちが好きなんですよね。
それから、特に今回、私たちも出演した《Pentaport Rock Festival》でマッシヴ・アタックを観たんですが、あのライブが本当にすごく印象的でした。パレスチナの国旗も掲げていましたし、AIや、人々の個人情報の流出など、さまざまな社会的なメッセージをテーマに、バックの映像をメディアアートみたいにしていて、すごく感銘を受けました。
──ちょうど日本の《フジロック・フェスティバル》でも同じようなパフォーマンスをして、日本でもかなり大きな話題になっていました。今おっしゃったように、普段考えていることがそのまま音楽にも出てくるというところが、PTHの魅力なのだと思います。
私は京都という地方都市を拠点にバンド活動をしているのですが、京都には小さなライヴ・ハウスを中心に、東京とはまた違った独自の音楽シーンがあります。みなさんのアルバムにも、Say Sue Meや Soumbalgwangといった釜山のバンドのメンバーがプロデュースで参加していますよね。ソウルを中心に活動しているバンドという立場から見て、釜山の音楽シーン、あるいは釜山のバンドについてはどのように感じていますか?そして、ソウルと釜山のように、異なる都市を拠点に活動するバンド同士の交流は、韓国では活発なほうなのでしょうか。
J:私たちは、釜山のシーンとは結構近いところにいると思っています。その理由を正直に言うと、バンドを始めてから最初に仲良くなった友達がSoumbalgwangだったんです。それで釜山のシーンをより身近に知るようになって、実際に釜山でもライブをやるようになりました。だから、そういう理由だと思います。たまに、「もしあのときSoumbalgwangと出会っていなかったら、私たちはいつ頃釜山でライブをしていたんだろう」とか、「いつ釜山のシーンにいるバンドに興味を持つようになっていたんだろうか」と考えることもあります。でも今は、釜山のバンドもたくさん知っていますし、一緒に活動したりもしています。実際、釜山には本当にカッコいいバンドがたくさんいます。客観的に見ても、釜山から本当にたくさんの素晴らしいバンドが出てきています。そして、そういうバンドが成長して、活動を続けていけるようにしている《Ovantgarde》というヴェニューもあります………続き、誰か話す?
C:《Ovantgarde》の話、する? どうする?
J:泣きそうだからパス……。
C:韓国には、昔作られた法律がそのまま変わっていない部分が結構あって、インディーのライヴ・ヴェニューというのは、いわばグレーゾーンのような形で営業しているんです。本来、「ライヴ会場」として登録すると、お酒や飲み物を販売することができないんです。一方で、一般飲食店として登録して、お酒を販売できるようにすると、今度はその店内でお客さんが踊ることができない。そういうちょっと変な法律があるんですよ。それで、たまにおかしな人がそういうことをライブベニューのことを通報するらしいんです。私たちが知っているインディー系のヴェニューも、ほとんどが一般飲食店として登録されているので、実際にはそこで踊ると法律上は違法になるんです。みんな、それが法律上は違法だということは分かっているんですけど、実際にそれを通報する人はほとんどいません。でも、たまに本当に通報する人がいて。普通は警告だけで終わることが多いんですが、今回、釜山で最も重要なインディー・ヴェニューのひとつである《Ovantgarde》が通報されて、2か月間の営業停止処分を受けることになってしまいました。本当に、インディー・シーンで活動しているバンドや、ヴェニューのオーナーたちにとって、ものすごくショッキングなニュースで。私たちも今日その話を聞いたばかりで、すごく驚いています。《Ovantgarde》は釜山のインディー・シーンにとって本当に重要な役割を果たしているんです。いわばインディー・シーンの中心のような場所で、たくさんのバンドが《Ovantgarde》を拠点に活動しています。そんな場所が今、大きな危機にさらされているので、すごく心配しています。
PTHの《Ovantgarde》でのライヴの様子(ファン撮影)──私も以前、釜山に旅行したときに《Ovantgarde》に行ったことがあります。なので、今のお話を聞いて、あのとき訪れた《Ovantgarde》が、やはり釜山のインディーシーンにとって本当に重要な役割を果たしていたんだと改めて分かって、ある意味では嬉しかったです。一方で、今回、営業停止処分を受けてしまったという問題については、実は日本でも、法律上グレーになっている部分をめぐって、これまで何度か問題になったことがあります。ここ数年でも、日本でもクラブが営業停止処分を受けたり、営業に関して問題になったりするケースがありました。なので、今回の《Ovantgarde》についても、なんとかまた営業を続けられるようになればいいなと思っています。
みなさんは毎週メンバー選曲のプレイリストを、自分たちでデザインされた画像と一緒に公開されていますね。先日の更新でちょうど100回目ということで、お祝い申し上げます。プレイリストを見て、ロック、ジャズ、K-POPなど多様な選曲からみなさんの幅広い音楽性が感じられました。日本の音楽では坂本慎太郎、SPYAIR、渚にて、ナンバーガールなどが選曲されていましたが、他に新旧問わず、気になっている日本のミュージシャンはいますか。
C:今回、東京で一緒にライヴをするLIGHTERSですね。一緒にライブをすることになって初めて聴いたんですけど、曲がすごく良くて、最近よく聴いています。それから、Modern Jazz Warも今回一緒にライヴをするんですが、一緒にやることになる前から、Sailor Honeymoon のAbi(Raymaker)という友達が、日本に行ってきたときに「このバンド、めちゃくちゃカッコよかったよ」って教えてくれて。それで知りました。あと、たまにギターウルフも聴きます。韓国の Galaxy Expressというバンドにすごく似ていて(笑)。
S:私はもともとBorisというバンドが好きで、よく聴いていたんですけど、最近《무대륙(ムデリュク・無大陸)》という、ライヴ・ヴェニューでもあり、飲食店でもあるお店で作業していたときに、たまたまmaya ongakuというバンドの曲を聴いたんです。それがすごく良くて。最近は普段、作業しながらかなり頻繁に聴いています。
J:私は今年の2月にDYGLが韓国に来て、Wah Wah Wahと一緒にやったんですけど、そのときに初めてライヴを観ました。それまではよく知らなかったんですが、実際に観てみたら、すごく自分の好きなタイプの音楽で。ガレージとかポストパンクとか、自分が好きな時代の音楽をやっていて、すごく気に入ったので、今年はDYGLのアルバムをよく聴いています。
G:私はフィッシュマンズとナンバーガールもよく聴きます。自分が好きな音楽のスタイルなので。
C:あ、私も思い出したんですけど、細野晴臣さんが本当に、本当に、本当に、本当に大好きで。最近、韓国からもシリカ・ゲルのメンバーが細野晴臣さんのスタジオに行って、実際に会ってるじゃないですか。もう羨ましくて仕方ないです(笑)。デヴィッド・バーンとかマック・デマルコとか、あとギースのヴォーカルのキャメロン・ウィンターも行って会っていて……本当に羨ましいです。私もいつか絶対行ってみたいです。
──私もよく知っているミュージシャンの名前がたくさん出てきて嬉しかったです。以前公開された動画の中で、バンドの短期的な目標のひとつとして「フェスに出ること」と話していましたよね。実際に大きなフェスのステージに立ってみて、手応えはどうでしたか。
C:フェスのステージに立ってみたら、ペダルボードのライトが全然見えなかったんです(笑)。だから、ペダルがオンになっているのかオフになっているのか分からなくて、音だけを頼りに判断しないといけなかったのが、ちょっと大変でした。でも、やっぱりフェスに出てみると、基本的に本当にたくさんの人がいるし、その中には私たちのことを知らない人もたくさんいたと思うので、すごく楽しかったです。
S:あと、私たちのフラッグを作ってくれて、お客さんが振ってくれたんです。それは普段のヴェニューでは見られなかった光景だったので、すごく新鮮でしたし、すごく感動しました。
J:そういうのもありますけど、やっぱり一番大きいのは、物理的な規模だと思います。小さなヴェニューとフェスでは全然違うので、やっぱり一番ワクワクするのも、その規模ですね。とにかく人も多くなるし、ステージも大きくなるので、単純に楽しいです。最近ふと思ったのは、規模が大きくなった分、アンプやマイクから出す音量も大きくなるので、私たちのサウンドで埋められる空間がどんどん広くなっていくのが、すごく不思議で面白いなと。いくつか大きなフェスに出てみて、サウンド面でも、少し成長できたような気がしています。
──では、フェスを経験した今、これからの目標について何かありますか。
C:ツアーに行くこと。でも、これから日本にも行くし……。みんな目標、ありますか。
J:なんというか、陣取りゲームみたいに、どんどん新しいお客さんに出会っていきたいですね。新しい国の人たちをどんどん“さらっていく”というか(笑)。
S:単独公演を満員にすること。
J:何人?
S:500人。
──最後に、日本ツアーも控えていますが、日本のリスナーのみなさんに伝えたいメッセージや、ライヴへの意気込み、あるいはライヴでここに注目してほしいというポイントがあれば、お願いします。
C:“何か”をお見せします。
S:最後には、日本のお客さんにも私たちに向かってみんなで「Fuck You!」って叫んでもらいたいです。それと個人的には、今回のツアーを終えて帰ってきたときに、4人全員がある程度日本語を話せるようになっていたらいいなと思っています。
J:普段はMCをほとんどしないセジョンが、今回は日本語でMCをする予定です。期待してください。
<了>
2016年から活動している韓国のデジタルクリエイター/映像制作チーム《BCC(Bad Choice Crew)》のコンテンツに出演したPTH
2025年11月にリリースされた最新作
Text By Shoji Ohashi
Interpretation By Daichi Yamamoto
Peach Truck Hijackers Touring Party in Japan
2026年9月25日(金)
会場:東京・幡ヶ谷FORESTLIMIT
出演:Peach Truck Hijackers、Modern Jazz War、LIGHTERS、mio(Tangle)
チケット:前売り 2,800円(+1ドリンク) 当日 3,300円(+1ドリンク)
予約はこちら(予約フォーム)
2026年9月27日(日)《りんご音楽祭》
会場:長野県・松本市 アルプス公園
