「音楽は人々を結びつける」
即興と作曲の狭間から生まれるコミュニティ・ミュージック
Jeff Parker ETA IVtet最新作『Happy Today』インタヴュー
街が変われば、人も変わる。当然のことだ。では、そこで生まれた繋がりは、育まれたコミュニティはどうだろう。トータスのメンバーとしても知られ、いわゆるシカゴ音響派、あるいはそれをジャズ/実験音楽などと紐付けて拡張した偉大なギタリストの一人、ジェフ・パーカーがJeff Parker ETA IVtetとして送り出す最新作『Happy Today』には、その答えが宿っているかもしれない。
ジョン・マッケンタイア然り、トータスのメンバーがソロでも充実したキャリアを築き上げている点に異論はないだろう。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト=フリーのソロ・デビュー作『Honora』(2026年)でも大きな役割を担ったジェフももちろんそう。で、そんな彼のキャリアの中でもこのJeff Parker ETA IVtetなるプロジェクトは、彼がロサンゼルスに移住して以降、サックス奏者のジョシュ・ジョンソン、ベーシストのアンナ・バタース、ドラマーのジェイ・ベラローズ(前者2名は『Honora』にも参加)と共に《ETA(The Enfield Tennis Academy)》と呼ばれるヴェニューでほとんど毎週のように繰り返し行ってきたセッションに端を発したものである。ゆえにこの4名のメンバーの他、《ETA》という場こそが彼らの作品においては極めて重要な要素であり、事実として前々作に位置付けられる2022年の『Mondays at The Enfield Tennis Academy』(ジェフのソロ名義だが、録音はETA IVtet)、および前作『The Way Out of Easy』(2024年)は《ETA》でライヴ録音されている。
しかし、2023年に《ETA》は閉店。本作『Happy Today』は《ETA》のあった場所からも近い《Lodge Room》という会場で録音されている。しかも約400人の観客に囲まれる形で、歓声などの一種の環境音もパッケージ。これまでの作品からも感じることのできた静的な美しさ、即興とも作曲とも掴めない構築感のある演奏はそのままに、これまでとはまた一味も二味も違ったムードが収められていると言っていいだろう。そんな最新作について、ジェフに行ったオフィシャル・インタヴューをまるっとお届けしよう。
(インタヴュー・文/高久大輝 通訳/近藤麻美 トップ写真/Sam Lee 記事内写真/David Haskell)
Interview with Jeff Parker(Jeff Parker ETA IVtet)
──最新作『Happy Today』はあなた方が2016年から2023年にかけてほぼ毎週月曜セッションしてきた《ETA(The Enfield Tennis Academy)》の外で録音された初の作品となっています。まずは《ETA》がのような場所だったか、振り返って教えていただけますか?
Jeff Parker(以下、J):《ETA》って、本当に特別な場所だったんだよ。最初はただのバーって感じで、僕はロサンゼルスに来たばかりで知り合いもいなかったから、アストンにある《ETA》のマネージャーだったライアン・フリオ(Ryan Julio)に連絡して、月曜の夜にそこで演奏させてくれないか聞いてみたんだ。自分的にはただ(自分自身を)忙しくして、ミュージシャンとしての感覚を保つための場所にしたいという感覚かな。というのも、まだ僕はロサンゼルスでは誰も知らなかったし、仕事の話もあまり入ってこなかったからね。だから、最初はただ暇をつぶすための場所として始まったんだ。
──つまり、人脈作りや何かを始めるのに適した、一種のステッピング・ストーン(足がかり)のような感覚だったと。
J:いや、人脈作りなんかは、それほど考えていなかった。正直なところ、ただ毎週演奏できる場所が欲しくて、自分を忙しくしていたかっただけなんだよ。でも、それが徐々に実験できる場になっていった。それに、ロサンゼルスの音楽シーンには、そういう(実験)精神があまりないことに、当時は気づいていなかったんだ。でも、次第に人々が集まるようになってきた。そうして、ロサンゼルスのミュージシャンたちが気軽に集まって即興演奏や実験ができるような場所が生まれ、コミュニティのようなものができていったんだ。
──なるほど。音楽的探求の方向性は始めた頃と比べどのように変化していきましたか?
J:かなり進化していったよ。最初に《ETA》で演奏し始めた頃は、ジャズ・スタンダードやジャズ・チューン、ビバップの曲ばかり演奏していた。でもその後、もっと自由なスタイルで、あるいは即興の概念がより自由になって、実験的に演奏するようになっていったんだ。そうするようになってから、その音楽が僕にとってすごく面白くなっていって。だから、バンドリーダーとして、僕たちは即興演奏だけに集中しようって決めた。長い間演奏を続けているうちに、僕たちなりの独自のコミュニケーション方法が見つかって。それで、僕はそこに集中することにしたんだ。
──今作は、《ETA》であなた方が培った音楽が《ETA》という場を離れた後も継続して探求されていることを証明していますよね。2023年の《ETA》閉店後、ETA IVtetはどのような意識で活動を続けてきたのでしょう?
J:たぶん、ここ2年ほど《ETA》で演奏してきた中で、僕たちはまず第一に、かなり具体的でまとまりのある即興演奏のスタイルを確立し始めたんだ。そして第二に、僕たちの演奏を心から評価してくれるオーディエンスも増えてきた。でもそれに伴って、《ETA》を離れた後は、バンドのメンバーも《ETA》のスタッフもみんなすごく忙しくなってしまって……。だから、今では年に2、3回以上演奏するのでも僕たちにとって非常に難しい状況になってしまった。以前なら毎週演奏できたのにね。要するに、全員がロサンゼルスにいて、ほぼ毎週演奏するために集まることのできたあの時期は、本当に特別な時間だったってことだよ。今は本当に大変になってしまったからね。
演奏スタイルは、《ETA》時代と変わらないけど、以前ほど頻繁には(演奏)できない。でも、演奏するときは、あまり頻繁にやらないからこそ、たくさんの人が聴きに来てくれる。それは、ある意味、ビタースィートな感覚で、良い面も悪い面もあるような感じだね。みんなが僕らの演奏を聴きに来てくれるのは嬉しいけど、もっと頻繁に演奏できないのが残念だよ。
──今回の録音は《ETA》のあった場所からも近い《Lodge Room》で行われています。どのような会場なのでしょうか? 《Lodge Room》は円形ステージなどの特徴があり、《ETA》が100人規模だったのに対して今作では約400人の観客がいて、規模が大きくなっていたりもしますよね。
J:《Lodge Room》は本当に素晴らしい場所だと思うよ。見た目の美しさという点でも、本当に素敵な部屋だし、音響的にもすごく良い。特に人が集まると、ちょうどいい広さなんだ。《ETA》は細長い部屋で、僕たちは部屋の奥の床の上で演奏していて、特にここ2、3年、ヴェニューは本当に混雑していた。だから会場にいた人のうち、僕らの演奏が見えたのはせいぜい20%くらいだったんじゃないかな。むしろ“聞こえた”という方が正しいかもしれない。《ETA》は音響処理が施されていて、音質がすごく良かったから、会場全体に音楽は素晴らしく響いていたけど、そこにいた人のほとんどは僕らの姿を見ることができなかったと思う。《Lodge Room》に移ってからは、部屋の中央で演奏するから、オーディエンスが僕らを四方から囲む形になったんだ。いわゆる“ラウンド形式”ってやつだね。そしたら、すごく良くなった。音響の良い部屋だったことと、そこにいた全員がようやく僕らの演奏を見られるようになったことが相まって、みんなにとってずっと良い環境になったんだよ。
──聴衆の存在の有無は演奏にどう影響していますか?
J:それは大きな違いだね。つまり、人が多ければ多いほど、みんなのエネルギーに後押しされるような感じがする。特に《Lodge Room》みたいな場所ではそうだね。《ETA》はすごく狭かったから、本当に四方八方から人に囲まれていた感じだった。つまり、もし誰もいなかったら……って思うよ。たぶんプレイの仕方も変わるかもしれない。どうだろう。まあ、プレッシャーがそれほど大きく感じないかもしれない。よくわからないけどね。
──というのも、『Happy Today』には観客の歓声など、いわばアンビエンスもはっきりと収録されていますよね。これによって作品には、より空間的なニュアンスや静けさ、緊張感が持ち込まれているように感じます。観客の声を作品に収めることはどのような意味を持ちますか?
J:聴衆の声……。うーん、僕の中の理想主義者としては、人がいようがいまいが、とにかく自分たちの音楽を演奏すべきだと思ってしまうんだ。昔の格言で、えーと、「森の中で木が倒れたとき、誰かがそれを聞いたとしたら、誰もいないときと同じ価値があるのか?だったかな?もしかしたら、森の中で木が倒れたとき、誰かがそれを聞いたら、誰もいないときと同じ価値があるのか?」(訳者補足:If a tree falls in a forest and no one is around to hear it, does it make a sound?/誰もいない森で木が倒れたとき、音はするのだろうか?)というようなのがある。何が言いたいのかというと、観客がいようがいまいが、僕らは音楽を演奏するんだ。でも、僕らは観客のエネルギーを糧にしているのもわかっている。僕らは観客のために音楽を作っているんだ。つまり、僕自身、そして他の人が聴くために音楽を作っているってことを強く意識している。もちろん自分なりの考えはあるけど、間違いなく僕たち自身のため、人間全体のために音楽を作っているんだ。つまり、僕に人々に与えられるものの一つが、この音楽なんだと感じているってことだよ。決して、僕個人のためじゃない、僕たち全員のためのものなんだ。
──聴衆も含めて、ということですね。
J:そう、バンドの全員を代表して話すわけにはいかないけど、僕自身や自分の貢献という点では、自分の演奏を聴いてくれている人たちのこと、絶対に意識している。わかるかな? でも、聴衆の好みに合わせたり、聴きやすくしようとはしていない。ただ、何かを届けているという意識は強くあるんだ。あの場にいた人たちにね。
──資料には「もともと本作はスタジオ録音の集大成として計画されていたが、完成した音源を聴き返す中で、《Lodge Room》での演奏こそが最もバンドの本質を捉えていると判断された」とあります。スタジオ録音されたバージョンの音源もあるということですよね?
J:うん。スタジオで録音もしたんだけど、スタジオで録ったものとライヴ録音の両方を聴いてみると、やっぱりライヴの方が断然良かったんだ。エネルギーが違った。スタジオでの録音も悪くなかったけど、エネルギーがずっと低いものだった。録音したスタジオはここ、つまり僕の家のスタジオだったんだけど、観客なしで、僕たち4人とエンジニアのブライス・ゴンザレスだけでレコーディングしたんだ。悪くはなかったよ。実のところ、スタジオ録音はあくまでリハーサルとしてやるつもりで。ただ記録として残しておきたくて録音しただけなんだ。だからそのスタジオ録音は、あくまでもライヴのリハーサルとして行われたものなんだよ。
──資料に書かれている「バンドの本質」とは?
J:うーん、正直よくわからないんだ。もしわかっていたら……そう、その本質って、実は僕たち自身もわかっていないってことなんだと思う。すなわち、本質というのは、僕たちがオーディエンスのために一緒に演奏しているということなんだ。それが、僕たちがずっとやってきたことすべてだからね。つまり、僕たちは長い時間をかけて、どうやって互いに意思疎通を図れるかを見出してきた。何年もの間、構成について試行錯誤を重ねて、その構成を取り払った状態でどうやって一緒に演奏し、コミュニケーションを取れるかを見極めたんだ。それはみんなの経験に基づいているんだよ。もしその本質が何なのかわかってしまったら、ある意味、その価値が薄れてしまうような気がする。
──先ほども名前が挙がりましたが、前2作品と同様、最新作もエンジニアのブライス・ゴンザレスがETA IVtetのために設計したカスタムのアナログ・ミキサーとNagraのポータブル・テープレコーダーで録音されています。彼のライヴ録音、ミキシングは作品にどう影響しているのでしょうか?
J:作品に彼の影響はないし、僕たちの活動にはまったく影響を与えていない。でも、ブライスが僕たちの活動を記録して残してくれたことには、本当に感謝しているよ。個人的には、ブライスをバンドの5人目のメンバーだと思っているんだ。彼は僕らにとって非常に重要な存在で、僕たちの音楽が彼に、本当にクリエイティヴで独創的な何かを生み出すきっかけを与えたような気がする。そのことには心から感謝しているし、高く評価している。とはいえ、彼の録音が僕たちの活動に影響を与えているわけではないんだ。
──彼に対して何か具体的な指示などはあったのでしょうか?
J:バンドの初期の頃、彼はマイクをどこに置くのがベストか、そして僕たち一人ひとりが自分の音が録音でどう捉えられているのを好むかを探るために、いろいろ手探りしていた時期があった。例えば、彼が僕のギターアンプにマイクを置いたりしたことがあったんだけど、僕にはあまり良い音に聞こえなくて、彼に場所を移動するよう提案したりして、最終的に僕たち二人とも一番良い音だと納得できる場所を見つけるまでいろいろと試してみたりね。でも具体的な指示を出したことは一度もない。どちらかというと、何が一番うまくいくか見つかるまで試行錯誤する、そんな雰囲気だったよ。
──最新作で新たに取り入れた機材などはありますか?
J:ジョシュ・ジョンソンはいつも新しい機材をセットアップに取り入れているかな。具体的に何なのかはわからないけど、彼と演奏するたびに、セットアップに新しい何かが加わっているように感じる。僕自身は、ずっと同じ、ほんの数種類の機材を使い続けているんだけど。つまり、僕のセットアップは基本的にディレイみたいなもので。ループを作ったり、持続させたりできるもの、それから周波数を変えて音を変えられるようなフィルタリング機能、それにループ・ペダルみたいなもので音を拾って、その上にさらに何かを重ねていけるようなものだね。本当にそれだけなんだ。
──本作のタイトル『Happy Today』は、2025年の厳しい状況の中で音楽を奏でる喜びを実感したことに由来しているそうですね。とりわけあなたにとってはプライヴェートでも家族にとって厳しい年だったと伺いました。
J:南カリフォルニアで大きな山火事が2件あったんだ。1つはロサンゼルス西側のパリセーズで(訳者補足:2025年1月、ロサンゼルス西側の高級住宅街パシフィック・パリセーズ周辺で大規模な山火事[パリセーズ火災]が発生した)、もう1つは東側で、僕が住んでいる場所なんだ。アルタデナでも大きな山火事があって、町の60%くらいが焼失した。幸い、僕の家自体は無事だったんだけど、火はすぐそばまで来ていたから、避難して、それから約8ヶ月間、家には戻れなかったんだ。
──8ヶ月!?
J:そう、8ヶ月間も家を離れていたんだ。その間、貸アパートやホテルに滞在していた。本当に大変だったよ。大きな負担だったし、本当に大変な1年だった。君たちがドナルド・トランプをどう思っているかはわからないけど、僕たちは彼のことが好きじゃない。彼が政権に就いてから、彼を嫌っているみんなにとって、物事がとても難しくなっていった。ロサンゼルス中で移民の摘発が行われたり、大学から資金を削ったり、多様性、とりわけ文化的な多様性を攻撃したり、物事を偏った視点で捉えたりするんだ。そういう状況の中、彼の山火事への対応もあって、毎日を過ごすのがすごくストレスの多い時期で。僕には10代の息子がいるんだけど、本当に不安定な状態だったし、僕も精神的な面で不安定になってしまった。だから、アルバムを作ったとき、ただ一緒に演奏できたこと自体が、さっきも言ったけど、普段はあまり演奏する機会がない中で、みんなで集まって演奏できたことが本当に嬉しかったんだ。オーディエンスも僕たちを喜んで迎え、受け入れてくれた。僕たちの音楽を聴くために集まった人たちを通じて築いたコミュニティに、また戻れたんだ。それは僕にとってとても刺激的だったし、正直幸せとは言えない時期の真っ只中にあって、本当に幸せな時間だった。だから、このアルバムを『Happy Today』と名付けたんだよ。
──戦争や格差などの問題も重なり、社会的に厳しい状況の続く現在、音楽には人々にとってどのような価値があるのでしょうか。『Happy Today』の制作を通して感じたことはありますか?
J:音楽ってすごく、すごく重要なものだよね。音楽は人々を結びつける。クリエイティヴなエネルギーって、人にとって良いものだと僕はずっと感じているんだ。自分の作品に対して正直であり、刺激的な表現をするってことについてね。そうすることで、人々に考えさせたり、自分自身に挑戦したりもできる。それが人々に「物事を前進させよう」と考えさせるきっかけになるんだ。つまり、(この演奏は)本当に最高の気分だったんだ。ただ最高だっただけでなく、感謝の気持ちでいっぱいだった。
《ETA》の素晴らしいところは、ロサンゼルスにいる僕たちのような人たちのために、ある種のクリエイティヴなコミュニティを作り上げてくれたことなんだ。ミュージシャンたちが、いや、コミュニティ全体が集まって、クリエイティヴなエネルギーを感じられる場所を提供してくれた。《ETA》が閉まってから、《ETA》だけじゃなくて、ロサンゼルスのあちこちの場所も閉まってしまった。《ETA》がなくなってから、コミュニティに空白ができたんだ。だから、《Lodge Room》で演奏したとき、またあの感覚を味わえて良かったし、それ以上に、そこにいたみんながそのことをわかっていたと思う。だって、ここアメリカでは、トランプが政権に復帰して以来ずっと、特に多様性があって、文化的に豊かな都市では本当に状況が厳しいからね。
──過去のライヴの映像をいくつか観ると、あなた方は大げさにアイコンタクトを取るようなことはせず、音にひたすら没頭しているように見えます。演奏中は何を意識していましたか?
J:僕たちはただお互いを聴いているだけなんだ。僕らは、演奏するとき、本当に大きな大きな全体像を考えている。それは、全員が聴き合い、本当に耳を傾けて、意図的な選択をする、集団での即興に対する非常に作曲的なアプローチなんだ。だって、即興演奏者には選択肢がたくさんあるからね。僕たちが本当に心がけているのは、音楽を衝動的な演奏スタイルに委ねないこと。衝動的ではなく、忍耐と意図に基づいた何かを作り上げようと考えていると言える。つまり、相手の演奏に即座に反応するのではなく、選択肢がある中で、実際に動く前にじっくりと考えるような感じかな。
『Happy Today』Artwork
──本作の演奏を記録したチャーリー・ワインマン(Charlie Weinmann)による長編映像作品もアルバムと同時に発表されます。映像に収めることは事前に決まっていたと思うのですが、撮影されることが演奏に影響することはあるのでしょうか?
J:いや、あれはあくまで記録として撮影されていたと言う方が正しい。映画として公開するつもりは全くなかったんだ。だから、質問への答えはノーだね。音楽的な活動において、そういうことは考慮に入れていなかった。だって、公開するつもりは全くなかったんだから。
ただ、プレヴューを観て考えが変わったんだよ。まず、ブライス・ゴンザレスの録音はいつも素晴らしいから、音質が最高なのはわかっていた。その上で、僕が本当に衝撃を受けたことが二つある。一つはデヴィッド・ハスケル(David Haskell)が撮った、アルバムのジャケットに使われているあの美しい写真だ。本当に……いや、彼が撮った写真はどれも本当に美しかった。それからチャーリーが撮影した映像を観たとき、「これはすごい」って本気で思ったんだ。あらゆる面で本当に美しく記録されていた。で、その映像を観て、僕は「おお、このヴィデオに力を入れなきゃ」と思ったんだ。それに《ETA》で演奏していたときは、観客のほとんどは僕たちの姿をしっかり見ることができなかったからね。そして、《International Anthem》のスコッティ・マクニース(Scott McNiece)が、アルバムのアートワークには写真に焦点を当てようというアイデアを出してくれた。そう、つまり、すべてが本当に、本当に、セレンディピティ(serendipity)、つまり嬉しい偶然だったんだ。
<了>
Text By Daiki Takaku
Photo By Sam Lee, David Haskell
Interpretation By Mami Kondo
Jeff Parker ETA IVtet
『Happy Today』
LABEL : International Anthem / BEAT RECORDS
RELEASE DATE : 2026.05.15
配信リンク
https://jeffparker.lnk.to/happytoday
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