Review

Connan Mockasin / Ade: It’s Just Wind

2021 / Mexican Summer
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親子関係を超えた瞑想の物語の糸

26 July 2021 | By Takuro Okada

四囲の評価なんぞには目もくれず、ひたすら軽妙なシュルレアリスム世界を体現し続けるコナン・モカシン。本作は実の父アデとの共作盤となっており、彼の72歳の誕生日である7月14日にリリースされた。

アデとは度々ステージを共にしクラシック・ロックのカヴァーを披露しており、ネット上ではいくつかのライブ映像でその姿を見ることが出来る。マック・デマルコも参加した2015年のライブ映像でビートルズ「While My Guitar Gently Weeps」を歌詞カンペ片手に歌う姿を目にしたことがあるモカシン・ファンも多いかもしれない。

と、これまでゆるキャラ的ライヴ・ゲスト参加のイメージが強いアデとの共演だが、本作はそうした企画もの的和気藹々なムードは感じさせない。深遠なメタファーを孕んでいそうなタイトルであるが、これはアデの口癖である屁っぺのジョーク……というところも含め正真正銘のコナン・モカシンの新譜と言って差し支えのない内容だろう。これまでも冗談でコナンとアデはアルバムを作ろう!なんて話をしていたというが、実際に制作の発端となるのは、父アデの突然の心停止で昏睡状態に陥り、あの世とこの世を行き来したこと、そして数年前にある透視能力者がコナンに対して父親が関わるプロジェクトがまだ始まっていないというメッセージを受け取ったことなど、とのこと。

録音メンバーはコナンのレギュラー・バンド、ジャズバスターズの面々に加え、昨年《Stones Throw》からリリースされたニューエイジ/アンビエント作『My Garden』も記憶に新しいジョン・キャロル・カービーらが参加している。

コナンの前作『Jassbusters』に引き続き、サイケに捻れたヨットロック/AOR的なソングライティング路線の楽曲を軸に、そこに加えられたアレン・ギンズバーグとスコット・ウォーカーを足してアットホームにしたようなアデの渋いポエトリー調のヴォーカルと、全編で涼しげに浮遊するジョンのシンセサイザー使いのコントラストは本作のサウンド・キャラクターを決定つけている。またタイトル曲であるトロピカルなバレアリック・フュージョン「It’s Just Wind」や、スティーヴ・ハイエットを思わすアンビエント・トラック「Edge Of Darkness」、「Round Peg in a Square Hole」も非常に素晴らしい仕上がり。エンディングを飾る「Clifton」はそのままで美しいビーチサイド・バラードだが、何故か位相を反転させたイレギュラーな音響がシニカルかつユーモラスだ。(岡田拓郎)

 

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