サニーデイ・サービス: Birth of a Kiss

2019 / ローズ
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永遠に明滅を繰り返す刹那の輝き

06 September 2019 | By Dreamy Deka

2015年3月27日渋谷公会堂で行われたライヴを収録したこのDVDは、同年7月に発売されたボックスセットの一部としてすでに世に出たものである。しかし、それから4年の月日を経て、この作品が持つ意味は当時とは決定的に違うものとなった。当時は「最新の」ライブ映像だったものが、2018年5月の丸山晴茂の死去によって、彼と曽我部恵一、田中貴というサニーデイの黄金期をつくった3人による「最後の」ライヴ映像となってしまったのである。

さらに加えるなら、2017年に出版されたサニーデイと北沢夏音の共著『青春狂走曲』によれば、このライヴのリハーサルに丸山はアルコールと体調の問題でほとんど姿を見せることができず、当日は不測の事態に備えてサポート・ドラマーが控えるという綱渡り状態で行われたという。華やかなステージの裏側で、サニーデイ・サービスというバンドの光と影が激しく交錯した、奇跡的な夜の記録である。

でも、このライブ映像を見た後で言えることは、そんな意味付けなどどうでもいいということだ。ここにはただ、最高のスリーピース・バンドの、最高の瞬間が記録されている。忍び寄る影、待ち受ける運命。そんなものはどっかに放り投げて、ただこの演奏を全身で受けとめて、泣いたり笑ったりすればいい。

全27曲、サニーデイ・クラッシクスのすべてが網羅されたと言っていい珠玉の楽曲と、曽我部恵一の表現力豊かなヴォーカル、そして少し危ういリズムが、離れがたく一体となった演奏。その愛すべきいびつさと、一瞬たりとも目を離すことのできない緊張感。これこそがサニーデイ ・サービスの、いやスリーピースのロックンロール・バンドにとっての、もっとも原初の、もっとも尊い醍醐味だ。2016年の傑作『DANCE TO YOU』発表以降、「最新のサニーデイ・サービスこそが最良のサニーデイ・サービスである」と確信している筆者ですら、このカッコよさだけはやっぱり特別だ…と思わずにはいられない。そしてこの決して褪色しないグルーヴの鍵を握るのは、丸山晴茂のいつだって大胆で、時々不安定な、まるで青春そのもののようなドラムであることは言うまでもない。

このエバーグリーンなのに、決してノスタルジーの波に飲み込まれることのないヒリヒリとした手触りは、これからずっと先も何度でも、その時代を生きる若者たちによって再発見されるだろう。1990年代の東京で彼らが放った刹那の輝きは、永遠に明滅を繰り返す。1960年代のはっぴいえんどが、1970年代のセックスピストルズがそうであるように。(ドリーミー刑事)

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