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Superorganism初来日公演直前!~日本を離れて暮らすオロノが語る、バンドのユニークさを形作るポップへの愛と野心

31 January 2018 | By Daichi Yamamoto

BBC、Rolling Stoneを始め多数のメディアから“今年/いま注目のアーティスト”として紹介され、フランク・オーシャンやヴァンパイア・ウィークエンドのエズラ・クーニグからも愛を受けるなど昨今のインディ・バンドとしては異例のバズを浴びるSuperorganism。

年が明けてからも彼女たちはペースを緩めない。シングル「Everyone Wants To Be Famous」は、サンプルづくめのサイケデリックなサウンドも、SNSを通して皆が評価を得ようとすることへ皮肉が感じられるリリックも彼女たちらしいもの。そして何より何度でも聴きたくなるキャッチーさが耳を惹く。ワールド・ツアーや待望のデビュー・アルバム『Superorganism』のリリースもアナウンスし、2018年のポップ・ミュージックを征服する準備を着々と整えつつある。

《TURN》ではこれまで2つの記事に分けてSuperorganismというバンドのユニークさを紐解いてきた。それは、「2017年にラジオから聴こえてくる音楽に聴こえない」ものであり、その裏には誰よりも無邪気にポップ音楽を愛し、その無限の可能性を追求する気概があった。

Superorganism第1弾記事:【2017年のポップ・ミュージック最大の謎?! 予想外のアクシデント?! 現行ポップの景色を変えるSuperorganismとは何者?!】はこちら→http://turntokyo.com/features/features-superorganism

Superorganism第2弾記事:【初来日公演決定! アルバム到着前に紐解くSuperorganismのあまりにも無邪気な真性ポップの断面】はこちら→ http://turntokyo.com/features/features-superorganism-2

さあ、いよいよ機は熟した。ファースト・アルバムのリリースも決定したところで、昨年、ヴォーカルのオロノへ行ったインタビューを公開する。Superorganismというバンドに抱いていた謎、前回の記事にも繋がる彼女たちのポップ音楽に対するアティチュード、更には日本を離れ暮らすオロノの客観的かつ冷静なパースペクティブが浮き彫りになるだろう。さあ、バンドについてより深く知ったところで初来日公演へのカウントダウンを続けよう。(取材・文/山本大地)

Interview With Orono

――「超キャッチーで、とても楽しい雰囲気を持っている」―それがSuperorganismの音楽の一番の肝だと思っています。先日の《Dazed》のインタビューの中でハリーが、「最近のポップ・カルチャーの大半は特にカニエ・ウエストの『808’s & Heartbreak』以降の内省的で悲しいものが中心。そんな中で「Something For Your M.I.N.D.」のような「楽しい」フィーリングを持った音楽は目立ったんじゃないか」という旨の発言をしていたのが印象に残っています。「楽しい」音楽を作ることっていうのは自分たちも意識していますか?

Orono(以下、O):うーん。「楽しい音楽を作ろう」みたいな意識があるわけではないと思います。「自分たちが好きなことをやろうよ」という風にしていて、その上に自分たちの性格とか好きなものが乗っかっていると思うんですけど、バンドの皆はすごく明るくてポジティブな人が多いのでそれが出てるだけなんだと思います。

――「Something For Your M.I.N.D.」にしてもその次のシングル、「It’s All Good」にしてもインターネット上で大きなインパクトを持って迎えられましたが、中でも内省的な色がとても濃いミュージシャンであるフランク・オーシャンに「この曲をプレイしたい」と思わせたのは凄いことだと思います。自分たちの音楽のどんな部分が彼に刺さったと思いますか?

O:ハリーがインタビューで例に挙げていたバンドがフレーミング・リップスで、彼らは明るいサウンドが多いけど扱っているテーマとかは暗いものが多かったりして。自分たちも歌詞的には何となく暗いんだけど、暗いものをポジティブな視点で見ているというか。ポジティブさとネガティブさをうまくバランス出来ているバンドが自分たちは好きで、そういうのが自分たちの音楽にも出ていると思うんですよ。そういうところを彼は気に入ってくれたんじゃないかと思います。そう願いたいです(笑)。

――暗いこともポジティブに思考していくっていうことですか?

O:思いっきりポジティブだと変じゃないですか。「暗いときもあるけど、どうでもいいじゃん」みたいな。ローリング・ストーンズの「You Can’t Always Get What You Want」みたいに、そういう両方がうまくバランスできている曲が素晴らしいと思うんで。そういうのを今後もまた作れたらなと思ってます。

――歌詞はどの曲もすごくポジティブで、今話していた「暗い面」っていうのはあまり感じさせないくらいに前向きな印象がありましたが、その裏には「暗いこともあるけど、でもそんなの気にしないで行こうよ」みたいな気持ちがあると。

O:まだ17歳だから「社会なんてクソだ!」みたいな気持ちがあるんですよ。だからそれに対して、20代後半の明るい大人たち(周囲のメンバー)が「まあまあオロノ、いいじゃないか」って背中を押してくれているのが、そのまま音楽になっていると思います。

――歌詞は全部自分で書いてしまいますか?それとも自分で一度歌詞を書いてから他のメンバーから助言があったりしますか?

O:周りからの助言っていうのはあまりないですね。曲が出来上がっていて、そこに自分が歌詞を付けて歌うっていう段階になると、曲のテーマが何となく決まっていて、そのテーマが「悲しいけど、ポジティブ」みたいな。例えば「Nobody Cares」とかは「自分のことは誰も気にしてないんだ」みたいなことをすごくネガティブ観点から見たんですよ。曲のテーマを。最初の部分はそういう内心的な感じで。でもそれが後半に入ると「誰も気にしてないけど、それはいいことなんじゃないか」みたいな。一つのものを両方(悲観的・楽観的)の観点から見てるような。

――そのような歌詞は単に普段思っていることを吐き出しただけという感じでしょうか。また、歌詞を書く上で参考にしている、もしくは影響を受けた人はいますか?

O:うーん、いろんなものの組み合わせな気がしていて、自分が普通に一日を過ごしている中で、面白い文章とか比喩とかが思い浮かぶんですよ。それを携帯にメモしておいて、後で歌詞を書くときにそれを見返して、曲に合うような言葉をパズルみたいに組み合わせていく感じですね。ただ外で人を見ていて思い浮かんだこととか、ただ物事を考えていて思いついたこととか、誰かと会話をしながら思いついたこと、ウィキペディアを読みながら思いついたこととか、いろんなことの組み合わせだと思います。

――曲の中では作家のトニー・ロビンズのスピーチや韓国語の会話など、サンプリングがたくさん入っていますが、アイディアはどこから来ていますか?

O:例えば、トニー・ロビンズのスピーチを使おうってなったのは、「サンプルを入れようね」ってやっていたわけではなくて、曲に合うからやってみてるだけですね。あと韓国語のサンプリングはメンバーのソウルが韓国人の親を持っていて、韓国語のサンプルは彼が読んだり歌ったりしているものです。

――曲は誰か決まったソングライターがいて周りで肉付けしていく感じですか?

O:メンバーの中にソングライターが何人かいて、彼らがファイルを送ってくれて、それに他のメンバーが自分の得意な部分を足していって、その音源がミックスとドラムをやっているメンバーのところに行って出来上がりみたいな感じですね。

――ソングライターは何人かいるとのことですが、それでもどの曲もサイケデリックな音作りという部分は共通している気がします。サイケデリック・ミュージック自体は皆が共通して好きなものですか?

O:そうですね。でも、そういう音楽を作ろうとしているわけではなくて、皆が音を付け加えていく中で自然とそうなるんだと思います。

――サイケデリック・ミュージックでいうと特に好きなアーティストは誰ですか?ポップな面とサイケデリックな面を両立しているという意味でテーム・インパラやアンノーン・モータル・オーケストラとかを思い浮かべます。

O:皆その辺りはすごく好きですね。あとはMGMTとか皆大好きですね。

――そうですね。MGMTもファースト・アルバム『Oracular Spectacular』のキャッチーさなんかはSuperorganismに共通していますね。バンド・サウンドではギターが大事な役割を果たしている感じがします。そういう意識は特にありますか?

O:それを色んなメディアから言われたり、「ギター・ミュージックを生き返らせた」とか言われて嬉しかったんですけど、正直それも特に意識していなくて、「ここはギターが合うから入れようよ」とかそういうノリでやってたんですよ。結構皆色んな楽器が出来るんで、曲にあった楽器をどんどん使おう、みたいな感じでやっただけなんですね。

――「ギター・ミュージックを取り戻す」とか大袈裟に言われているかもしれないですが、今のギター音楽の元気がない状況についても、例えば「バンド音楽の状況は大変だけど頑張ろう」みたいな意識はあまりないですよね。

O:インディ・ロックがダサくなったよね、っていう話はたまにしてます。今流行っているインディ・ロックは00年代初期のストロークスやホワイト・ストライプスが出てきた頃よりは元気がないっていうのは思います。でも、いつの時代でも探せばいい音楽はあると思うので今の状況について不満を感じたりはしないですね。

――ただ、現実の状況としてはチャートではポップやラップがメインになっていてバンド音楽が苦戦している、というのは事実だと思います。今のシーンで売れていくためには何が大事だと思いますか?

O:いい質問ですね。売れるために何かを変えようとか、何かをやろうではなくて、メンバーは皆ポップ・ミュージックとかポップ・カルチャーは大好きなので、色んな年代の自分の好きなものを重ねて行って、その結果自分たちの好きなものと同じくらい自分たちのことも好きになってくれれば、と思います。大半のインディ・ロックのバンドってそこまでアンビシャスじゃないと思うんですね。例えばヴァンパイア・ウィークエンドなんかはゆっくりとビッグな存在になって行った感じですけど、彼らはポップ・ミュージックを作ろうっていうアンビシャスな意識があったからそこまでいけたんだと思うんですよ。で、MGMTっちょうど同じ頃に出てきたじゃないですか。だけどMGMTってヴァンパイア・ウィークエンドほど大きくはなれなくって。

――逆ですね。デビュー作はよく売れて、でも…みたいな。

O:そうですね。だから、色んな人が聴いてくれるようなポップ・ミュージックを作ろうっていう意識があって、それで大きくなろうっていう意識はメンバー皆あると思います。でも、「それを成し遂げるためにこれをやろう」みたいなことはあまりしたくないです。

――大きくなろう、たくさんの人に聴いてもらおうっていう野心を大事にすることですね。

O:そうですね。特に前にもバンドをやっていた彼ら(周囲のメンバー)は長い間音楽をやっていたのでそういう気持ちはすごく大きいと思います。でもまだ自分は17歳で真剣に音楽を作ったりするのは初めてなので、彼らとは違う部分でのアンビシャスな部分があると思います。

――周囲のメンバーは20代後半~30代前半のようですが、彼らと年齢が離れていることで、寂しく感じてしまうこととかもありますか?

O:自分はこの前までは同じ歳の人たちと一緒に過ごしていたので、そこから切り離されたっていうか、誰のことも知らないロンドンで20代後半から30代前半のかっこいい大人たちと住むのはすごく不思議です。 ちょうどこの前話したんですけど、彼らが育った頃は「このアルバムを作るのにコンピューターを使ってないぜ」みたいなスタンスを取っているバンドが多かったらしいんですよ。でも自分が育った中でそんなバンドあまり聞いたことなくて、それで世代が違うんだなって思いました。

――今からするとそういう感覚ってダサいぐらいですよね。

O:そうですね。テクノロジーがこんなに発展したのにそれをうまく使わないのは勿体無いっていうか、なんでわざわざ逆戻りなことをするのっていう疑問はあります。でも何でそんなことをやりたいのかっていうのも何と無くはわかりますけど。

"「とりあえず好きな音楽を作っていって、みんながどんな反応をしているかを見ながら、ゆっくり”自分たちの”音楽を作っていこうよ」みたいな感じでした。"

――そもそも8人のメンバーはどのように集まったのか、教えてください。

O:メンバーのうちの何人かが、以前からインディ・ロック系のバンドをやっていて、彼らがYouTubeの「関連動画」に出て来たので聴いてみたら好きになって。

――YouTubeを見ていたらたまたま彼らと出会ったということ!?

O:そうですね。彼らが日本ツアーに来るというので、ライブを観に行ったら仲良くなれて、その時は一緒に上野のハードロック・カフェや上野動物園に一緒に行ったりして、それ以来ずっとFacebookの友達で、誕生日の時にメッセージを送り合ったり、面白い動画をシェアしたりとかしていて。自分がSoundcloudにペイヴメントやウィーザーのすっごいレベルの低いカバーをアップしてたんですよ。それをFacebookに載せたら彼らが聴いてくれたらしくて、「才能がある」みたいなことを思っていただけたわけですね。そしたら、今年(2017年)の私の17歳の誕生日の次の日にメンバーのエミリーがメッセージを送ってくれて、「今度新しいプロジェクトを始めるんだけど、一緒にやらない?」みたいなことを言われて、彼らのことを尊敬してたんで、「やらせてください」って答えて。もう次の日くらいに「Something For Your M.I.N.D.」のデモを送って来てくれて、「まだ歌詞がないから録音して送って来てくれない?」って言われたので、多分土曜か日曜の朝だったんですけどベットで30分くらいで歌詞を書いてMacbookのしょぼいマイクを使ってGarage Bandで録音して、それを送り返して、出来上がりみたいな。そこから始まった感じですね。

――彼らもちょうどボーカルを探していたってことですね。

O:そうですね。

――「Something For Your M.I.N.D.」のトラックをもらった時、バンドはもうオロノと残り7人という状態だったということですか?

O:その時点では何をしたいのかとか明確なビジョンがあったわけではなくて、「とりあえず自分たちの作りたい音楽作ろうぜ」みたいな感じで、「今後もっと人を足していこう、何でもやろうぜ」みたいな感じで始まったんですね。「Something For Your M.I.N.D.」のミックスが終わってバッキング・ボーカルも完成したあたりの時点で、普通にSoundcloudにあげて。本当に何も期待してなかったんですよ。無名のバンドが初めてあげる曲なんで。そしたらフランク・オーシャンにかけてもらえる、とかっていうすごいことになっちゃって。一週間くらいでいろんなレーベルからメールが来ていて。そこからゆっくりですけど、自分たちが何をやりたいのかとかわかって来た感じですね。

――じゃあ、最初はただ「楽しい音楽を作る仲間」みたいな感じだったけど、曲をアップしてみたら、いろんなことが起こって、後から自分たちのやりたいことを具体的に考えてみるようになったと。

O:バンドって出て来た時から、特別なサウンドを持ってたりとか、「自分たちはこういうバンドです」とか言っちゃうのがほとんどじゃないですか。そういうのってクリエイティブな面から言うと、自分の本当にやりたいことを出来なくしてしまうと思うんですよ。最初から「自分たちはコレ」って言っちゃうと。だから、「Something For Your M.I.N.D.」を上げてから最初のうちは自分たちの情報を出さなかったんですよ。「とりあえず好きな音楽を作っていって、みんながどんな反応をしているかを見ながら、ゆっくり”自分たちの”音楽を作っていこうよ」みたいな感じでした。

――そういう考えは皆で共有していたということですか?

O:そうですね。皆揃ってインディ・ロックが好きって言うわけじゃなくて、皆いろんな音楽を聴くんですよ。メンバーがいっぱいいることの有利な点だと思うんですけど、いろんな影響源があって一つの曲ができるし。

――例えば、どこを拠点に活動していて、どんなシーンに属していて、どのバンドと仲良くてとかっていう情報がわかっちゃうとリスナーやメディアもそのバンドのジャンルやサウンドのイメージを特定しちゃいますよね。

O:そういうのはつまんないことだと思うんですよ。今はネットがあるから、何でも情報って見つけられるけど、自分たちはそれがなかなか出来ないバンドだから、皆が興味を持ってくれて面白いことになったんじゃないですかね。

――確かにあなたたちは出自がわからないからこそ話題になった、という面はあるでしょうね。

O:そうですね。

――まだロンドンに移って1,2ヶ月くらいだと思うんですけど、ロンドンのシーンについてはどのように見ていますか?ここ3年くらいはグライムやラップ・ミュージックが元気でしたが、一方で最近はロンドンのインディ・シーンもザ・ビッグ・ムーンやCosmo Pykeと行った名前が象徴するように少しずつ元気を取り戻している、という見方もあります。これから加わっていくシーンに対してワクワクいていたりしますか?

O:自分が12とか13の時Twitterで音楽の話が出来る友達が欲しくて色んな人をフォローしたんですよ。インディ・ロックとか聴いている人がオアシスとかアクモン(アークティック・モンキーズ)とか聴いている人が多くて、何でそれをやったかは覚えていないんですけど、(自分は)「アクモンだせえ!」とかそういうツイートをしてました。「UKロック、クソだせえ」とかすごい言ってたんですよ。

――じゃあ当時はUKのロック・シーンに対して特に愛着は無かったってこと?

O:そんなことを言いながらもアクモンとかは聴くんですけど、その時はUSのブルックリンの2008年頃のシーンが大好きで。MGMTとかヴァンパイア・ウィークエンドとかダーティ・プロジェクターズとかに「何だこれは!素晴らしいじゃないか!」って思っていて、それに対してイギリスでは昔ロックが盛り上がっていた時にやっていたことを、またやろうとしているバンドが多かった気がして、それがダサいなって思ったんですよ。ダーティ・プロジェクターズとかMGMTとかがやっていたような「新しいものを作ろう」っていうチャレンジ精神が欠けていた気がして、UKロックをディスっていたのは覚えています。
けど今でも彼ら(他のメンバー)もそう思っているんですよ。昔ほど強くは思っていないけど。メンバーが色んなところから来ているのはいい点だと思っていて(オロノ以外にもオーストラリア、ニュージーランド出身、親が韓国人のメンバーがいる)。

――外からの視点も入るから。

O:一つのロケーションで生まれた、っていうバンドの説明書きもなくて、自分たちもこれからロンドンで活動していこうっていう気も全然なくて。皆の共通の家っていうのはインターネットなわけで、一つの場所に頼って活動するっていう予定は全然無いので、色んな場所をツアーで点々として見て色んな刺激を受けながら色んな音楽を作っていくっていう感じですね。今も皆で一緒に住んでいても、楽曲のデモを送ったりとか感想を聞き合ってとかっていうのもインターネットでやっているし。この家がスタジオで一人一人の部屋で同時にいろんなプロジェクトが着々と進んでいるっていう感じです。

――さっき言っていたUKロックがダサいって思っていことって、日本固有の「洋楽シーン」にも要因はあるでしょうね。特に当時は日本だと毎年イギリスから出てくる新人バンドは結構どれも丁寧に紹介されていた気がします。そんな状況に対する「クソ!」っていう気持ちもあったんじゃないでしょうか。

O:ですよね。「皆本当に聴いてないんじゃ無いの?」みたいな気がして。

――それに比べると当時のブルックリンのバンドっていうのはいい音楽をやっていて向こうでは評価が高いけど日本では受け皿が大きくなくって。

O:多分そういうのってイギリスもそうですけど、日本の保守的な態度とかが原因だと思います。それがすごく日本に住んでいて嫌で。ずっとこれおかしいよな、とか思っていて、ずっとアメリカに住みたくて、中学三年の時にアメリカに行くことになったんですけど。

――私も日本が保守的だったり内向きだったりっていうのは日々感じます。そういのはさっき話した音楽シーンのこと以外でも感じていましたか?

O:小学生の時からおかしいなっていうのは感じていましたね。例えば小さい頃は女子より男子の方が絡みやすかったんですけど、周りからは「オロノ変わってるよね」とか言われたり、あと英語が好きだったんで熱心に勉強したりもしていたんですけど、そういうのも嫌な目で見られたりとか。なんか人と違うことをするのに対してすごい冷たい目で見るっていうのが日本はあると思うんですよ。

――そうですね。逆に周りと同じようで無難な格好をしているのがいい、楽っていう雰囲気がすごいありますよね。

O:そうですね。このまま普通に小学校行って中学校、高校、大学と進学してっていうのが嫌で日本を出たいなっていうのがあったんですよ。それは今でも思うんですけど、12歳の時に修学旅行で京都や奈良に行ったらその時にやっと日本の文化にも素晴らしい面もあるんだな、って時間がかかったけど気づいて。でも今も微妙な気持ちです。すごく好きな部分もあれば嫌な部分もあるので。

――そういう「人と違うことをするのに対して冷ややか」とかっていうのは、結局大人になっても一緒で。日本はみんなと似たようなキャラクターでないと損するような社会ですよね。

O:それが普通になっちゃってるのがすごい悲しいですよね。あとは日本の教育がすごく嫌で、オプションが少ないっていうか。結局教育ってどこに行っても完璧な教育システムって存在しないと思いますけど、特に日本のものは欠点多いなって思ったんですよ。日本の教育って完全に暗記じゃないですか。

――そうですね。

O:暗記して、歴史の教科書丸覚えでテストを受けて大学行ってみたいな。実際何も学べていない気がするんですよ。実際学校行ってて「これ何のためにやっているの?」ってすごい思ったんですよ。それをちゃんと説明してくれる先生がいてくれればいいと思ったんですけど、そもそもそういう先生が少ない気がするんですよ。

――そういう教育システムを当たり前と思ったまま育った人が、そのまま先生になっているから何も変わらないんですよね。

O:そうですよね。それがすごく残念で。自分の行っていた学校がイマージョン・スクールで、授業が半分英語だったんですけど、外国人の先生が教えてくれる授業は興味を持って受けれたんですよ。自分と観点が違うので面白くて。でも日本人の先生が教えてくれる授業は全然面白くなかったんですよ。彼ら(日本人の先生)はそもそもモチベーションが無さそうで、それで自分たちがモチベーション無いのに生徒に頑張ってもらおう、っていう日本の教育がおかしいなってすごく思って。それで日本を出たっていうのがありますね。

――「何故日本のシーンではなくて海外の音楽シーンでやっていこうと思ったか」を聞こうと思っていましたが、音楽以前の問題として「もう日本を出たい」っていう気持ちがあったんですね。

O:交通とかコンビニがいっぱいあったりとか、便利で住みやすい場所ではあると思うんですけど、人と関わるのは難しいと思って…。

――オロノさんはアメリカに住んでらしたこともありますし、これまでのSuperorganismの作品のアートワークを自ら手がけるなど、何かと積極的に行動を起こしてこられた印象です。

O:小さい頃から絵が得意だったわけじゃないんですよ。小学生の時は絵を描くのは好きだったけど、中学生の時は美術の先生が嫌いで、「これはこうやって描くんだよ」って細かく教えていて、一時期すごく美術がすごい嫌いだったんです。アメリカに行ってからアートの先生が素晴らしい先生で、アートの火が点いたみたいな感じです。その人はただ一つのテクニックを教えてくれてあとは「これを使って好きなことなんでもしていいよ」みたいな感じの教え方の人で。それが自分はすごく好きでいろんなものを作ったんですけど。「It’s All Good」と「Nobody Cares」のアートワークはアメリカに居た時に書いた自画像で。人に見せた時はすごい拒否反応を示されたんですよ。「オロノ、一体これはなんなんだ」って。でもそれをエミリーに見せたら違ったんです。「これすごくいいから使おうよ」って!

■Superorganism オフィシャル・サイト
http://www.wearesuperorganism.com/

■Superorganism Twitter
https://twitter.com/SPRORGNSM

Text By Daichi Yamamoto


Superorganism 来日公演

2/5(月) Shibuya WWW

open18:00/ start 19:00 ¥5,000(前売/1ドリンク別
03-3444-6751(SMASH)

チケット情報
主催者先行予約
12/13(水)12:00 〜 17(日)23:59 http://eplus.jp/superorganism/
一般発売
12/23(土)〜PGにて発売開始
東京公演: e+ /ぴあ(P: 102-949)・英語販売あり/ローソン(L: 72512)

協力:Hostess Entertainment
お問合せ: SMASH 03-3444-6751 http://smash-jpn.com http://smash-mobile.com

■バイオグラフィー
ロンドンを拠点に活動、イギリス、日本、オーストラリア、ニュージーランドという多国籍のメンバー8人によるバンド。フランク・オーシャンやエズラ・クーニグ(ヴァンパイア・ウィークエンド)が、Apple Musicのラジオ番組で彼らの楽曲をオンエアし話題を呼ぶ。2017年6月に両A面シングル「It’s All Good」「Nobody Cares」をリリース。9月にアークティック・モンキーズやフランツ・フェルディナンドが所属する英名門レーベル<Domino>と契約したことを発表した。

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