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Luke Titus: Plasma

2020 / Sooper Records
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セン・モリモトも参加する若き白人男性ドラマー/マルチ奏者のデビュー作

05 February 2021 | By Daisuke Emori

チャンス・ザ・ラッパー周辺やドリル・ミュージックといったラップ界隈やジューク/フットワークの盛り上がりを嚆矢として、この10年で改めて音楽都市としての存在感を強めているシカゴ。現在の同地の勢いを物語る中心的存在が、フリー・ジャズの伝統を核に越境的な話題作を次々と送り出すインターナショナル・アンセムだが、彼らと並んで注目したいのが、セン・モリモトとナムディ・オグボナヤが立ち上げた《Sooper Records》だ。

京都出身の男性マルチ奏者であるモリモトと超絶ドラマーとしての顔も持つラッパーのナムディを筆頭に、ベネズエラとグアテマラをルーツに持つ女性R&Bシンガー=カイナ、アフロ・パンク・バンドのブラッカー・フェイスなど、サウンド面でも文化的背景の面でも多様なタレントが所属する彼らは、躍進する現代シカゴ音楽の一翼を確実に担っている。

その《Sooper Records》からの最新作は、ルーク・サンガーマンことルーク・タイタスのデビュー・アルバム。ノーネイムやレイヴィン・レネイといったチャンス周辺のディーヴァたちの作品や、先述のインターナショナル・アンセムからリリースされたレザヴォアなどにも関わってきた、若き白人男性ドラマー/マルチ奏者だ。R&B~ヒップホップ~ジャズが溶け合うソングライティングや、グリッチ~ドラムンベース的なビートを血肉化したドラミングなど、本作を形作る要素は、どれも彼が新しい世代のミュージシャンであることを顕著に表しており、そうした折衷性やビート感覚、あるいは作曲から演奏までマルチにこなす器用さは、極めて現代のシンガー・ソングライターらしい。

ただ、セン・モリモトがサックスで参加する冒頭曲を始めとして、ブラック・ミュージック的なムードをエフェクト・ヴォイスの多用によって増幅している点や、精密なビート感覚を、あくまでオーセンティックなソウル~ファンクの肉体的なアンサンブルとして着地させている点は特筆すべき。そこには、ナムディほかスーパー・レコーズの面々が共有する、現代的でありながらも正統性を重んじる志向が窺える。レイヴィン・レネイが参加する「Today」は、2020年屈指のソウル・ナンバーだ。

ビートレスでコーラスを重ねた、ビーチ・ボーイズを思わせる曲もある。いろいろと近い才能を感じさせるルイス・コールが初期ソロ作でやっていたことを思い出させるが、コールのように一気にトップ・アーティストの仲間入りを果たしたとしても不思議ではない。(江森大亮)


※デジタルとアナログ・レコードのみ

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