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Still Woozy: Lately

2019 / Still Woozy
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オークランドの新鋭が鳴らすインフェクシャスなグルーヴ!!

09 May 2019 | By Kei Sugiyama

テーム・インパラやマック・デマルコなどが引き合いに出されるカリフォルニア州オークランドを拠点に活動するシンガー・ソングライターから、『TURN』の月イチ企画である『BEST TRACKS OF MONTH-April 2019-』で選んだ「Lava」を含む初EPが早くも届いた。新録曲を3曲含む全5曲13分と短く、全ての楽曲がシームレスに繋がっていることも相まって全体で一曲のようだ。トロ・イ・モワに通じるグルーヴィーなベースラインとシンセサイザーがアクセントの「Lava」。60年代のブラジルのニューウェイヴであるボサノヴァ的アプローチの「Ipanema」。トラップ以降の歌モノR&Bの「Habit」。インドから影響を受けたサイケデリック期のビートルズ感をヒップホップ以降のマナーで再解釈した「Foolsong」。ドゥービー・ブラザーズやホール&オーツなどのAORを下地にしたようなポップ・ソング「Maybe She」。

上記のようにアプローチが違う楽曲が並んでいるがシームレスに繋がっていることもあり、大切な人が離れていくことの喪失と固執、そこからの解放という1本のショート・フィルムを見ているようだ。そんな映画のような情景が浮かぶのに大きな役割を果たしているのは「Ipanema」だろう。軽快なパーカッションと“オーウ、オーウ”というコーラスでの始まりから脳内には太陽と海岸線の映像が広がる。それはこの歌が60年代のボサノヴァを代表する一曲アントニオ・カルロス・ジョビン「イパネマの娘」を彷彿とさせることとも無関係ではない。その後も現在に至るまで、映画や音楽など様々なカルチャーに影響を与えたこの曲の影響を、私もまた知らず知らずの内面化しているからなのだろう。スペイン語と英語を同居させるチカーノ系シンガーに使われるバイリンガル・ソウルの流れを汲むOmar Apolloと、オークランドを同郷とするソウル・シンガー、Elujayの歌声もアクセントになっているし、特にOmar Apolloのスペイン語は異国感と陶酔感という二重の意味でのトリップ感を楽曲に与えている。

全体を通して流れるコミカルでウィットにあふれた遊び心をダンス・ミュージックとして昇華させている本作は、それまでの伏線を回収してカタルシスを感じさせるような「Maybe She」で終わる。まるで映画のエンドロールを思わせる解放感だ。しかし、Still Woozyがこのようなストーリーのある作品をリリースするとは思わなかった。彼は「作ったら数時間後にはアップする」とインタビューなどでよく発言していたからだ。一方で、本作には「Lately」というタイトルが与えられている。最近の自分のモードを集めた作品集が、物語性のある内容になっていることの意味を考えると、否が応でもフル・アルバムへの期待が高まっていく。(杉山 慧)

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