ALBUMS

REVIEWS: 10 July 2017

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REVIEWS: 10 July 2017

Bedouine

Bedouine

2017 / Spacebomb

By Yasuyuki Ono

ベドウィンーーアメリカ西海岸で鳴る、力強く、せつない遊牧民の唄

 ベドウィン。それはアラビア半島からサハラ砂漠まで広大に拡がる砂漠でラクダと共に生きる遊牧民の名である。アルメニア人の両親のもと、シリアはアレッポで生まれ、サウジアラビアで育ち、グリーン・カードを得た両親とともにアメリカへと渡った、アズニヴ・コーカイアンが名乗るのは、そんな名だ。
 マシュー・E・ホワイトとの出会いを経て、彼と、ザ・ブラック・キーズやハイム、アデルなどの作品に参加するガス・シーファートをプロデューサーに迎え制作されたのが、デビュー作たる本作。ここでは、本人が影響を公言する、ジョニ・ミッチェル、レナード・コーエン、ニック・ドレイクのような、オーセンティックなフォーク・ソングがつま弾かれる。しかし、それらのグッド・ミュージックの中でも異彩を放つのは、アメリカのシリア反政府勢力への武器供給と、その武器のテロリストへの横流しという事象を背景に制作され、彼女のルーツたるシリア、アレッポ路上のフィールド・レコーディングが挿入される「Summer Cold」。そして、スモーキーかつノスタルジックなギター・サウンドとストリングス、そしてMVの映像コラージュが美しい、ソウル・テイストの「Dusty Eyes」である。

 大西洋を渡り、ロスで映像音楽ディレクターとして働く一人の移民女性が、今鳴らす「フォーク」・ミュージック。それは広大な砂漠を移動し生きる遊牧民のように、どこまでも力強く、どこまでもせつない。(尾野泰幸)

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https://www.bedouinemusic.com/


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