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「DARK ダーク」〜ドイツの田舎町に潜む、行き場のない家族間を巡る絶望

#1 Netflix 「DARK ダーク」
04 March 2019 | By Hiroko Aizawa

2017年にシーズン1が公開されたドイツ発のNetfilxオリジナル・ドラマ「DARK ダーク」。面白さの割に注目度の高くない本作だが、ついに今年の6月にシーズン2が公開されるという噂。シーズン1の主な舞台は2019年なので、タイミングとしては丁度良い。が、2年は待たせすぎじゃないだろうか。

「ドイツ版ストレンジャー・シングス」という触れ込みに期待してこの作品を見始めると、結構火傷する。共通の要素は確かに多い。小さな町の複数家族、森で失踪する少年、政府関係の怪しい研究所(ダークの場合は原発)、自転車に乗る子供達、などの要素。だが、はっきり言って似ているのはこれらの要素だけなので、ストレンジャー・シングスのことは今すぐ忘れて観て欲しい。

大きく分ければSFスリラーと言えるが、SFのワクワクする要素、スリラーのいい意味でドキドキする要素はほとんどない。というのも、とにかく暗い。話の内容も、映像自体も、登場人物の表情も、全てが暗い。ワクワクドキドキ要素を期待すると、3話ぐらいで離脱しそうだが、そんな序盤で離脱すると本当に勿体無い。なぜなら、5話がめちゃくちゃ大事な転換期だから。そこまでの展開は確かにめちゃめちゃ遅い。伏線張りまくってるんだろうなあ、というのは容易にわかるのだが、それにしてもこの期間長くない?と思うことはぶっちゃけあった。しかし5話以降、今までどんだけスローペースだったのよ?というぐらいサクサク伏線を回収していくので、黙って5話まではとにかく観ろ、と言いたい。このあたりからは、急な展開の早さと登場人物の多さに、相関図なしだと厳しくなってくる。が、安易に相関図を見ると、壮大なネタバレに遭遇するので注意。暇な人は自分で相関図(時間軸込み)を作りながら観るのがオススメ。

終始青みがかった暗い風景、ドイツらしい無機質な建築、常に眉間にシワが寄っている、もしくは無表情の登場人物たちの正面アップなど、映像そのものにも見応えがある。陰惨とした美しさが溢れるOP映像は、このドラマのためにApparatが書き下ろした「Goodbye」との相性抜群で、アメリカのドラマにはない繊細で暗い美しさに魅了される。観る側の不安をとことん煽ってくる、話中の要所で流れるシンセやドラムの不穏な低音は、ジャーマン・テクノ/エレクトロ好きにも響くだろう。

個人的にポイントなのは、小さな町の閉鎖的な人間関係に不可欠なビッチキャラがちゃんと登場するところである。おそらく最初はみんな騙される。ドラマの中の人物は、そのビッチにもう何十年も騙されているわけだが、バレてもなお、ビッチはビッチであり続ける選択を無自覚にする。なお且つ、ある人物への執着が行き過ぎて恨みに変わるというありきたりな感情の転換もある。このビッチ、根底にある感情はルサンチマンである、というところもグッとくる。所詮、最初から最後まで負けていて、それに気づいているのに、「なぜ私が?」という感情が強すぎる。他のどの女よりカワイイのに、ルックスと狡賢さだけでは本命になれない悲しい性。

「過去現在未来の区別は幻想に過ぎない」というアインシュタインの言葉で始まるこのドラマ。3つの時間軸のつながり、接点に気付いた時はもう絶望しかないのだが、今後どういう展開に持っていくのか楽しみである。何しろシーズン1最後のクリフハンガーっぷりだけは、ハリウッド的なお決まりの終わり方で、そりゃないでしょ〜感が拭えなかったもので。(相澤宏子)

Text By Hiroko Aizawa

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