SERIES - BREAKDOWN THE POP : 25 July 2017

Diplo

BREAKDOWN THE POP

By Yuya Watanabe / Yuta Sakauchi / Daichi Yamamoto

SERIES - BREAKDOWN THE POP : 25 July 2017

Diplo

BREAKDOWN THE POP

By Yuya Watanabe / Yuta Sakauchi / Daichi Yamamoto

BREAKDOWN THE POP
 ~時代を作るプロデューサーは誰だ?

現在の音楽シーンにおける「プロデューサー」鼎談連載
#2 Diplo

 あらたなスーパー・プロデューサー時代の到来―そう、いまやプロデューサーとは従来の裏方的なイメージではないのだ。特に北米の音楽シーンを中心に、一曲に複数人のプロデューサーのクレジットが並び、「~~のシングルは、△△がプロデュース!」といったニュースが毎日のように飛び交う現在のシーンで、「プロデューサー」という役割が力を増しているのは紛れもない事実。彼らのことを知らずして、この時代のポップ・ミュージックを語るのは不可能といってもいい。本連載では、そんなプロデューサーの中でも、いま、特に注目したい1人にスポットを当て、TURNライター陣によって徹底的に語り尽くす。今回とりあげるのはディプロ。フジロックフェスティバルでも来日予定のメジャー・レイザーや、スクリレックスとのユニット=ジャック・Uなど、プロデュース・ワーク以外の活躍も目覚しい彼の動きに迫ってみたい。(鼎談 : 渡辺裕也 × 坂内優太 × 山本大地)

第2回:Diplo

山本大地(以下Y):そういえば、あの話知ってますか? ケイティ・ペリーのセックスの話。

渡辺裕也(以下W):(笑)。どういうこと?

坂内優太(以下S):あれだよね。「彼女が今まで付き合ってきたディプロとジョン・メイヤーとオーランド・ブルーム、3人の中でベッド・テクニックをランク付けするとしたら?」ってやつ。

Y:ディプロ、この3人の中でビリにされちゃったんですよ(笑)

W:かわいそうなディプロ…。

Y:でも彼、「俺はセックス・オリンピックで銅メダル取ったぜ」って開き直ったツイートしてましたけどね(笑)。

W:ケイティ・ペリーの元カレにして、数々の大物を手がけるトップ・プロデューサー。いまやディプロもすっかりトップ・セレブですね。

Y:そうですね。ここ数年、プロデュースしているアーティストにもマドンナ、ビヨンセ、ジャスティン・ビーバーってトップ・スターがいますしね。

S:でも、彼って元々はM.I.A.との二人三脚でブレイクした人だよね。

Y:懐かしいですね。「Paper Planes」(2008年)、大ヒットしましたよね。僕もあの曲でディプロの名前を知った気がします。

W:「バッキー・ダン・ガン」(2005年)も衝撃的だったよね。あの時点で、ビートメイカーとしてのディプロのキャラクターはすでに確立されてたと思う。

Y:スリランカ出身の出自を生かしたM.I.A.の独特の雰囲気の歌い方、中東テイストなメロディ、ダンスホールっぽい軽いビート…。あれが、メインストリームに入ってきたときは新鮮に感じましたね。

S:「Big Dada」からポスト・DJシャドウ的なアルバム(『フロリダ』2004年)も出していた人だけど、このM.I.A.との仕事でビートメイカー/プロデューサーとしての中南米音楽びいきのキャラクターがはっきりしましたよね。

Y:それに、ディプロとの出会いなしにはM.I.A.もブレイクしなかったでしょうね。

W:「Paper Planes」がグラミーにノミネートされたのと、メジャー・レイジャーの始動が、どちらも2009年。いま思うと、このへんがキャリアの分岐点だったのかもしれない。そういえば、たしかディプロはソロとメジャーレイザーの両方で2009年のフジロックにも出てるんだよね。

Y:へえ、そうなんですか!?2009年に既にメジャー・レイザーで来日してたのか。僕は当時高校生ですけど、まだそこまで目が行かなかったんですね…。

W:でも、ぶっちゃけ俺もその頃はよくわかってなかったかも。メジャー・レイザーのほうは特に。

S:そうなんですよね。あのディプロの新しいプロジェクトということで注目もされてたんだけど、アートワークとかも含めて、どこからどこまでが本気なのか…。

W:プロデュース・ワークについてはどう見てますか。2010年代に入ったあたりから、すこしフェイズが変わった印象もあるんだけど。

S:クリス・ブラウンとの「Look at Me Now」が2011年。で、アッシャーとの「クライマックス」が2012年ですね。

Y:この辺りを聴いていると彼の仕事がしっかりプロデューサーとして裏方っぽくもなった感じがありますね。よーく聴くとディプロっぽい音の軽さやダンスホールっぽさは曲をあるんだけど、あくまでクリス・ブラウンやアッシャーをしっかり主役にしているのが。

W:いま振り返ると、「え、こんな人にも書いてたの?」みたいな曲もけっこうあるよね。良くも悪くも、シンガーを選ばなくなったというか。

S:『アメリカン・アイドル』出身のアレックス・クレアとかね(笑)。いま聴くと、これはこれで味わい深いトライアルだけど…。

Y:メジャー・レイザーの2013年のセカンド・アルバム、『Free The Universe』も、ゲストがブルーノ・マーズやワイクリフ・ジョンからダーティ・プロジェクターズのアンバーとかヴァンパイア・ウィークエンドのエズラまでフィーチャーして…。このアルバムからゲスト・シンガーを中心に据えた感じになっているし、メジャー・レイザーというと、この作品から注目を浴びたイメージがあります。

W:「ゲット・フリー」、いいよね。アンバーにとってもすごく重要な曲だと思う。

Y:この曲なんかはもう、アンバーfeat. メジャー・レイザーくらいの曲といってもいいような(笑)。メジャー・レイザーのファーストの曲と比べてダンスホール・テイストも抑えめで、それまでのディプロのプロデューサー仕事が繋がった感じします。

S:そのあと、スクリレックスとジャック・Uを始めたり、メジャー・レイザーで「Lean On」や「Cold Water」といったヒット曲をバシバシ出していく感じになるわけだよね。ヨーロッパ的なアンダーグラウンドのダンス音楽の文脈でも評価された人で、ここまで大きなヒットにも関わってるのって実はかなり稀有かもね。

Y:ジャック・Uはごりごりのフューチャー・ベースって感じで。スクリレックスって当時、ブレイクしそうなんだけど決定的な一打が出せなくてちょっと迷っていたようなところもあったと思うんですけど、彼のアクロバティックでハードなサウンドを、ディプロが自分の軽いビート感で補ってすごく丁度いい感じにさせたというか。ああいうハードなベース・ミュージックのプロダクションをこんなにポップに仕立てた作品って他になかったと思います。2015年~2016年はクラブでジャック・Uの曲をかなり聴きましたね。

W:あとは「Where Are U Now」。あの曲はジャスティン・ビーバーのキャリアにとっても大事な曲ですよね。それまでのアイドル的なイメージから脱却する時期ともうまく重なったというか。

Y:「Lean On」なんかは最近のメインストリームのダンスホールの流行の一つの口火を切った決定的な一曲という感じがしますね。この曲はダンスホールともトロピカル・ハウスともいえると思いますけど、BPMは90くらいのゆったりとした感じで、それまでの享楽的で展開がワン・パターンなEDMとは異なる感じですよね。

W:出るぞ出るぞと言われているメジャー・レイザーのニュー・アルバム『ミュージック・イズ・ザ・ウェポン』のリリースはまだ先みたいだけど、とりあえずここまでのシングルはどれもいい。「ノー・ノウ・ベター」のゲスト・ヴォーカル陣も、まさに今の北米メインストリームど真ん中って感じで。

S:音楽性とかは全然違いますけど、こういうゲストの並べ方とかをみると、なんとなくカルヴィン・ハリスとの共通点も感じますね。

Y:「ノー・ノウ・ベター」なんてトラヴィス・スコットとMigosのQuavo、それに元フィフス・ハーモニーのカミラ・キャベロっていう人選のバランスも最近のカルヴィン・ハリスそっくりですよね。「ヒートストローク」のヤング・サグ、ファレル、アリアナ・グランデみたいな。なんかこういう流れ面白くないな、と思っちゃうけど…。

S:言いたいことは分かるかも。でも彼が主宰するレーベル、《Mad Decent》では最新リリースで、オマール・スレイマンを出したりしてるから、相変わらず辺境マニア的な一面は残ってるんじゃないかな。そういう良い意味での節操の無さが、思ってもいなかった形でエキサイティングなものになったりするんじゃないかな。

Y: そうですね。昨年は日本からも男女デュオ、KiWiの楽曲をコンピに参加させたり、《Mad Decent》は相変わらず世界中のアンダーグラウンドのダンス・ミュージック・シーンの気鋭のDJやプロデューサーの発掘にも熱心。確かにどんなにメジャー・レイザーがビッグになろうと、彼のそういう部分は変わっちゃいないですね。

W:とにかくフジロックのライヴが楽しみだね。それこそ名実ともメジャー・レイザーはポップ・シーンを牽引するプロデューサー・チームなわけだし。

Y:最終日、一番アガるどころですね!


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