FEATURES : 25 December 2017

Superorganism

Superorganism's Cross-Section of Genuinely Innocent Pop

By Daichi Yamamoto

FEATURES : 25 December 2017

Superorganism

Superorganism's Cross-Section of Genuinely Innocent Pop

By Daichi Yamamoto

初来日公演決定! アルバム到着前に紐解くSuperorganismのあまりにも無邪気な真性ポップの断面

Superorganismこそが究極のポップの体現者だ

“ポップ”とは最も言葉で表現するのが難しいジャンルである。今の全米チャートを見てみたってラップを使ったものもあれば、ロックっぽいフォーマットのもの、昨今流行りのラテン系のものもあるし、今でこそ上位にはいないものの他にもダンス、カントリーなど多種多様だ。特定の形式を持たず、聴き手も選ばない究極の音楽である。貪欲で、身軽であると同時に、クレバーでもある。そんな性格を持っていると言っていいかもしれない。

そして特にここ数年はカニエ・ウエスト、ドレイク、ビヨンセやフランク・オーシャンといった名前を挙げるまでもなく、アンダーグラウンドのトレンドが盛んに取り入れられたり、いくつものジャンルを折衷することでジャンルの壁を取っ払おうという試みは多数のビッグ・アクトが実践しており、ポップというジャンルこそが世界の音楽シーンを最高に面白くし、前進させてきた。どんな変化や進化も起こり得ることこそがポップという音楽の最大の強みであり醍醐味であるとも言えよう。

総じてポップとは、あらゆる人を対象とするスケールの大きいものを追求しながらも、無邪気に様々な音楽に接し、どんな変化にも柔軟なアティチュードを持つ音楽である。そして、ポップのそんな性質を誰よりも体現しているのがSuperorganismだ。彼女たちの音楽は、エレクトロがあり、サイケデリック、さらにヒップホップやR&Bの影響さえ感じてしまうエクレクティックなものだが、音楽への向き合い方やアティチュードもまた特徴的であり、だからこそ、そのサウンドは奇妙でありながらも最高にエキサイティングである。今回はその所以を紐解いていく。

Superorganismのどの楽曲にも共通するのはキャッチーさであり、そこには一切の遠慮なくポップに挑戦する彼女たちの無邪気さが表れている。まるで子供が聴いている音楽のように優しくピュアなムードさえ纏っており、その度合は例えるなら「Uptown Funk」や「Happy」と並べてもいい。そして、この「ポップへの無抵抗感」は、多数のインディ・アクトがグレッグ・カースティンやジャック・アントノフといったポップ系のプロデューサーと組んだり、あるいはアーケイド・ファイアを始めとした名のあるアクトの新作がセールス上奮わなかったりと、「インディ」や「オルタナティブ」といった価値観の退化を思わず感じてしまう2017年を象徴しているとも言える。

そもそも彼女たちはポップ音楽愛好者の集団であり、それはSpotifyのアーティスト・ページで公開されているプレイリストを眺めてみれば納得だ。メンバーそれぞれがピックアップしたリストにはベックやアリエル・ピンクのようなインディから、リアーナ、ブリトニー・スピアーズのようなフィメール・ポップ、カニエ・ウエスト、ヤング・サグのようなラップ、マーヴィン・ゲイ、アース・ウィンド&ファイアのようなクラシックなものまで、ジャンルや時代の境がなくポップと呼べる楽曲が並んでおり、彼女たちのポップへの貪欲さを感じ取ることが出来る。

そんな彼女たちのポップへの愛は楽曲の制作プロセスにも表れている。現在バンドはメンバーの8人中7人がロンドンの一つの家で生活を共にしているが、ボーカルのオロノによると、「今も皆で一緒に住んでいても、楽曲のデモを送ったりとか感想を聞き合ってとかっていうのもインターネットでやっている。この家がスタジオで一人一人の部屋で同時にいろんなプロジェクトが着々と進んでいるっていう感じ」だという。つまり、ここではまさに一つ屋根の下昨今のメインストリーム・ポップさながら分業制のような曲作りが行われているのだ。あくまでDIYでありながらも、その手法はまさにビヨンセやカニエ・ウエストといったビッグ・アーティストの作品のようだ。

もう一つ、Superorganismの楽曲が面白いのは、あくまでもメインストリームのヒットメーカーのようには「戦略的」でないところである。例えば「Something For Your M.I.N.D.」ではサイケデリックなギターが効果的に使われているように思えるし、どの曲も無数のサンプルのコラージュが印象的だ。だがオロノによればこれらは意図して用いられたわけではなく、あくまで「曲に合いそうだからやってみただけ」。つまり、メインストリーム・ポップのような制作プロセスを取っている一方で、どこにどんな音を配置すればヒットにつながるか練るような曲作りをしているわけではないということ。彼女たちの楽曲がユニークたり得ることを説明するには、「人数が8人と多所帯であり、メンバーそれぞれの異なる趣向や才能(音楽以外でもOronoがアートワーク、Robertが映像担当だ)が発揮された」、あるいは「メンバーのルーツがイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国と多様であることで、バンドの視点も多角的になった」など外的要因も欠かせない。だが、何よりこの発言が意味するのは、彼女たちは予期せぬ偶然が生む可能性に委ねながら曲を作っているということであり、そこからは「どんな変化も厭わない」という柔軟さが感じられる。こうした精神性こそがSuperorganismの奇妙なサウンドを生んでいるだろう。

そんなスタンスは、Superorganismのプロジェクトそのものとも一致している。彼女たちはその正体の分からなさから「スーパーグループ」、「ミステリアス」と形容され、デーモン・アルバーンやテーム・インパラのケヴィン・パーカーのサイド・プロジェクトか?という憶測まで出ていた。メディアで話題になって暫くの間も自分たちのバックグラウンドについて自ら明かすことはなく、「ロンドンにいる7人のメンバーとメイン州に住むオロノという日本人女性で構成されている」程度の情報しか明らかにはなっていなかった。オロノはこう話してくれた。

「バンドって出て来た時から、特別なサウンドを持ってたりとか、「自分たちはこういうバンドです」とか言っちゃうのがほとんどじゃないですか。そういうのってクリエイティブな面から言うと、自分の本当にやりたいことを出来なくしてしまうと思うんですよ。最初から「自分たちはコレ」って言っちゃうと。だから、「Something For Your M.I.N.D.」を上げてから最初のうちは自分たちの情報を出さなかったんですよ。「とりあえず好きな音楽を作っていって、みんながどんな反応をしているかを見ながら、ゆっくり”自分たちの”音楽を作っていこうよ」みたいな感じでした。」

「ロンドン」、「サイケデリック・ロック」など何でもいい。地理的、音楽的背景を表す具体的な言葉はアーティストのイメージをクリアにする一方で、時に私たちの想像力を限定する。活動拠点や属するシーンなどの情報が分かれば私たちはその音楽のイメージを特定してしまうからだ。

Superorganismとはどんなアーティスト?それは私たち一人一人が自由に解釈し定義すれば良い、そんな解放的な考えがあったのだ。彼女たちは5年後にはヒップホップやダンス・ミュージックをやっているかもしれない。Superorganismの音楽は特定の形を持っておらず、何にでもなれるのである。

大衆的なものへの野心を持ちながらも、どんな変化でも楽しむ気概がある。Superorganismの音楽への接し方とそのアティチュードはポップの究極を体現しており、その楽曲たちはポップの魅力と無限の可能性で溢れている。

Superorganism第1弾記事:【2017年のポップ・ミュージック最大の謎?! 予想外のアクシデント?! 現行ポップの景色を変えるSuperorganismとは何者?!】はこちら→http://turntokyo.com/features/features-superorganism

ホット・チップのジョー・ゴッダードがリミックスを手がけた最新シングル「Something For Your M.I.N.D.」(詳細はこちら

Text By Daichi Yamamoto


Superorganism 来日公演

2/5(月) Shibuya WWW

open18:00/ start 19:00 ¥5,000(前売/1ドリンク別
03-3444-6751(SMASH)

チケット情報
主催者先行予約
12/13(水)12:00 〜 17(日)23:59 http://eplus.jp/superorganism/
一般発売
12/23(土)〜PGにて発売開始
東京公演: e+ /ぴあ(P: 102-949)・英語販売あり/ローソン(L: 72512)

協力:Hostess Entertainment
お問合せ: SMASH 03-3444-6751 http://smash-jpn.com http://smash-mobile.com

■バイオグラフィー
ロンドンを拠点に活動、イギリス、日本、オーストラリア、ニュージーランドという多国籍のメンバー8人によるバンド。フランク・オーシャンやエズラ・クーニグ(ヴァンパイア・ウィークエンド)が、Apple Musicのラジオ番組で彼らの楽曲をオンエアし話題を呼ぶ。2017年6月に両A面シングル「It’s All Good」「Nobody Cares」をリリース。9月にアークティック・モンキーズやフランツ・フェルディナンドが所属する英名門レーベル<Domino>と契約したことを発表した。

来年2月に初来日公演を行うSuperorganismの最新シングル「Something For Your M.I.N.D.」をホット・チップのジョー・ゴッダードがリミックス!

最新シングル「Something For Your M.I.N.D.」をホット・チップのジョー・ゴッダードがリミックス!
フロア仕様となったリミックスは必聴!

■「Something For Your M.I.N.D. (Joe Goddard Remix)」絶賛配信中!
リンクはこちら→https://itunes.apple.com/jp/album/something-for-your-m-i-n-d-joe-goddard-remix-single/1321759966


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