FEATURES : 18 July 2017

Queens Of The Stone Age

The Most Important Rock Band Of The 21st Century

By Daichi Yamamoto

FEATURES : 18 July 2017

Queens Of The Stone Age

The Most Important Rock Band Of The 21st Century

By Daichi Yamamoto

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ~21世紀最も重要なロック・バンド

フジロック・フェスティバル出演直前!QOTSAを紐解く4つのポイント

 2017年においてロックというジャンルを象徴する存在、それは誰であろうか?

 例えば、レディオヘッドやアーケード・ファイアは世界中どこのフェスティバルでもヘッドライナーだし、期待外れだった作品もほとんど思い浮かばない、まさにバンドのこれまでを常に更新してきた存在だ。だが、彼らはロックというジャンルとかけ離れた電子音楽やクラシックなども飲み込んできたアート・バンドともいえる。そんな意味で“ロック”という言葉から直感的に思い浮かべるものとはちょっと違うだろう。

 では、私たちはどんな時にロックというジャンルの本能的な魅力を実感しているだろうか。それは例えば、アンプを通した力強い音のアタックに痺れる時。思わず腰を動かしたくなったり、あるいは首を振りたくなったりする時。そんな時ではないだろうか。そんな原点に立ち返って冒頭の質問に答えるなら、私は迷わず“クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ”(QOTSA)の名前を即答したい。

 QOTSAは2013年の『ライク・クロックワーク』が全米1位、全英2位を記録し、出演するフェスティバルもほとんどがヘッドライナー。確かにロックというジャンルのアイコンといって文句はないだろう。ただ、約14年来日公演が叶わなかった日本ではそれすら共有されていない事実かもしれない。そこで、新作『ヴィランズ』発表まで一か月、フジロック・フェスティバルへの出演直前の今、QOTSAというバンドが何故特別、21世紀のロック・ミュージックの歩みの中で重要な存在なのか、4つのポイントに分けて紐解いていく。

【1】常にトップ・ランナーであり続けてきたから

 1998年にデビューしたQOTSAは、今年でデビュー20周年を迎えるベテラン・バンドだ。本格的にブレイクを果たしたのは全米17位、全英4位の記録を残した2002年のサード・アルバム『ソングス・フォー・ザ・デフ』だが、2007年の『エラ・ブルガリス』がアメリカで14位なのを除き、それ以降全てのアルバムが英米とオーストラリア、ドイツといった欧米の主要マーケットでトップ10入りを記録し続けている。継続して活躍を続けていること自体も讃えられるべきだが、それ以上に驚くべきは、チャート成績上彼らが最も成功した作品はデビューから15年の2013年に発表された『ライク・クロックワーク』(全米1位、全英2位)であるということ。このときフロントマンのジョシュ・オムはすでに40歳。つまり、90年代後半から活動するベテラン選手であるQOTSAは、いまもポピュラリティを拡大し続けている最中なのだ。

【2】「No One Knows」は21世紀最も愛されているロック・アンセムの一つだから

 ザ・ストロークスやホワイト・ストライプス、アークティック・モンキーズ…といった名前が示す通り、2000年代(特に前半)はインディ・ロックに活気があり、マスを魅了するエネルギーがあった時代。例えばこれらのバンドにそれぞれ、「Last Nite」、「Seven Nation Army」、「I Bet You Look Good On The Dancefloor」という曲があったように、この時代はたくさんのロック・アンセムが生まれた。そしてQOTSAの代表曲、「No One Knows」もその一つ。この曲が何万人もの観衆によって歌われている様子を見れば、どれほどこの曲が愛されているかはわかっていただけるはず。

【3】ロックの本能的な魅力を体現しているから

 クイーンズというバンドはロックの本能的な魅力を実感させるバンドである。それは冒頭でも述べた通りだが、その事実は21世紀のポップ・ミュージックの歩みの中でますます重要になっている。  先ほど述べた通り、2000年代はインディ・ロックがまだ辛うじてあらゆるポップ・ミュージックの中で一つのメジャーなフォーマットでいられた時代。ところが対照的に2010年代は、ラップやR&Bに代表されるブラック・ミュージックとEDMを中心としてダンス・ミュージックの時代と定義するのが適当だろう。もちろん成功しているバンドは存在するが、その多くは何らかの形でブラック・ミュージックやダンス・ミュージックを参照してきた。そんな中、ギター、ベース、ドラムスを軸とし、キャッチ―なリフやパワフルなサウンドで魅了するクイーンズは貴重な存在と言っていい。 また、ここ数年のUKの若手バンドの中でも随一の成功を収めており、彼らのライブを見てバンド結成を決めたという、まさにQOTSA直系のベース・リフや重厚なサウンドを軸とするロイヤル・ブラッドのようなバンドもいる。QOTSAというバンドはロック・ミュージックの寿命を確かに伸ばしているのだ。

【4】 ジョシュ・オムは現ロック・シーンの最重要人物だから

QOTSAというバンドの要はもちろんフロントマンのジョシュ・オム。だが彼はこのバンドにとってだけでなく現在のロック・シーン全体にとっての要のような存在といっていい。彼はQOTSAの他にも、同郷のジェス・ヒューズと共に活動するイーグルス・オブ・デス・メタル、デイブ・グロールやレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズと組んだゼム・クルックド・ヴァルチャーズでの活動でも知られているが、彼の最大の功績はプレイヤーとして以上に、プロデューサー活動にある。

 まず挙げられるのは2009年のアークティック・モンキーズのアルバム、『ハムバグ』だ。この作品において彼らはそれまでのダンサブルかつ衝動的なサウンドからは一転、ブラック・サバスも匂わせるスロウで重厚なサウンドへと大変身した。この変化に大きな手助けをしたのが、この作品をプロデュースしたジョシュだ。当初この新たなサウンドは、ファンによって好みも別れたりしたものだが、結果的にブリット・アワードを受賞し、アメリカでの本格ブレイクのきっかけにもなった2013年のアルバム『AM』に繋がる初めの一歩としてとても重要な意味を持っている。

 もう一作重要なのが、昨年のベスト・ロック・アルバムと言っていい、イギー・ポップの『ポスト・ポップ・ディプレッション』だ。イギーと共にこの作品を完成させたジョシュは、QOTSAのヘヴィネスを加えながら、イギー・ポップに全盛期のパワーとモチベーションを取り戻させたといって過言でないだろう。ジョシュ・オムという人物は、まさにロック・シーンの重鎮とでも呼ぶべきアーティストだ。

 QOTSAは21世紀の間、常にトップを目指し、また自らシーンの要となりロックの本質を表現してきた。4年ぶりの新作『ヴィランズ』からの新曲のお披露目も楽しみな、フジロックでのパフォーマンスは、21世紀の最重要ロック・バンドである彼らを捉える貴重なチャンスとなる。(文:山本大地 トップ写真:Andreas Neumann)

新作から「The Way You Used To Do」

■amazon商品ページはこちら

Text By Daichi Yamamoto


FUJI ROCK FESTIVAL ’17

07.28(Fri) WHITE STAGE

■Queens Of The Stone Age OFFICIAL SITE
http://www.qotsa.com/

■ビートインクHP内 アーティスト情報
http://www.beatink.com/Labels/Beggars-Group/Matador/QOTSA/OLE11822/


MORE FEATURES

  • FEATURES : 24 May 2019

    Connan Mockasin

    初来日公演に見たエキセントリックでカルトなだけではないコナン・モカシン

    By Takuro Okada

    4月15日に新代田《Fever》で行われたコナン・モカシンのライブを観に行った皆さん。音源で聴ける線の細い歌声の印象から、ともすればヘタウマな世界が繰り広げられると思いきや、その繊細なヴォーカルに圧倒

  • FEATURES : 21 May 2019

    Flying Lotus

    Flamagra、それはフライング・ロータスが歴史を把捉しながら描く新たな音楽の設計図

    By Tetsuya Sakamoto

    これまでフライング・ロータスことスティーヴン・エリソンは、ビート・ミュージック、エレクトロニック・ミュージック、ジャズ、ヒップホップ、ファンクを自由に撹拌し、自在に往来しながら、エクレクティックでフレ

  • INTERVIEWS : 17 May 2019

    The National

    人はまっさらで生まれ、喜びや挫折を浴びて育ち、強く気高く終える
    ザ・ナショナル最高傑作『I Am Easy To Find』ここに誕生!

    By Shino Okamura

    モノクロのポートレートとしてアルバム・カヴァーに写る女性は女優のアリシア・ヴィキャンデル。と知って、とっさに『光をくれた人』(2016年公開)の熱演を思い出した人は、筆者以外にもいるだろうか。昨年公開

  • INTERVIEWS : 16 May 2019

    The National

    世界に誇る最強バンドであるために
    アーロン・デスナーが語るザ・ナショナルが無敵の理由

    By Shino Okamura

    このインタビューは2年前、2017年9月に発表された通算7枚目のスタジオ・アルバム『Sleep Well Beast』のリリースに際して筆者が行ったものだ。相手はアーロン・デスナー。このバンドの音楽面

  • MAP OF THE K-POP : 15 May 2019

    Jannabi

    BTSやBLACKPINKとも肩を並べる人気バンドが聴かせる、現代に寄り添うレトロ・ポップ

    By Daichi Yamamoto

    「K-POP」という言葉は私たちに何をイメージさせるだろう。北米や北欧のソングライターとタッグを組んだ激しいダンス・ミュージック?歌や踊りを何年も鍛え上げる厳しい訓練生活やオーディションといったアイド

  • INTERVIEWS : 13 May 2019

    空間現代

    遠回りをした方が得られる感動もある~ アメリカ・ツアーも大好評だった空間現代、初の海外リリース作であり7年ぶりのオリジナル・アルバム『Palm』を語る

    By Shinpei Horita

    ニュー・アルバム『Palm』は、空間現代にとって実に7年ぶりとなる単独名義でのスタジオ録音作品であり、初の海外リリース作品である。しかし彼らはその間、沈黙を貫いていた訳ではない。言うまでもなく、201

  • INTERVIEWS : 12 May 2019

    三宅唱 x Hi’Spec x OMSB

    三宅唱 x Hi’Spec x OMSBが語る、共に過ごす日々が紡ぐ、尊敬と信頼のクリエイティブ~映画『きみの鳥はうたえる』Blu-ray&DVD発売記念インタビュー

    By Daiki Takaku

    ヒップホップの曲作りの過程を収めたドキュメンタリー『COCKPIT(2014年)』でも既にその音楽への熱を迸らせていた映画監督・三宅唱。そしてその出演者でもあり今や神奈川県は相模原を代表するヒップホッ

  • INTERVIEWS : 11 May 2019

    Jamila Woods

    レガシー、それは私そのもの ~ジャミーラ・ウッズが語る新作『レガシー!レガシー!』と、誇りの在り処、アイデンティティのゆくえ

    By Nami Igusa

    レガシー、それは自分自身だ。ジャミーラはインタビューでこう語ってくれた。「『この人は誰だろう? 私と同じ所から出てきて、世界を変えるような素晴らしい業績を残したこの人は?』と。それが私の自信になり、自