FEATURES : 14 April 2018

Courtney Barnett

Burn Up With An Authentic Good Song! Ultrafast Listening To The New Work Of Courtney Burnett For The First Time In 3 Years

By Shino Okamura

FEATURES : 14 April 2018

Courtney Barnett

Burn Up With An Authentic Good Song! Ultrafast Listening To The New Work Of Courtney Burnett For The First Time In 3 Years

By Shino Okamura

オーセンティックなグッド・ソングでぶっとばせ!
ブリーダーズのディール姉妹も参加したコートニー・バーネット3年ぶりの新作を超早聴き激報

確かに時代の主流からはまるきり離れた音楽だろう。オルタナ女子なんてコピーはレトロの産物でしかないかもしれない。そして実際、そこには、どうしようもなくロック、どうしようもなくグッド・ソング、というあまりにも無骨な一点にのみ支えられ、そこに絶対の信頼を寄せる一人のひたむきな姿があるのみだ。いや、ひたむきだけど、ときどき暴発して、たいていはアンビバレント。そんな愛すべき音楽家がオーストラリアはメルボルン生まれのコートニー・バーネットである……なんてもうとっくに世界中が知っていることを書いてみてしまった。失敬。

だが、まもなく到着するオリジナルとしては約3年ぶりとなるセカンド・アルバム『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』は、グッド・ソングを伴った暴発的ロック一点豪華主義のようなそんな武器を、より丹念に研磨し、よりダイナミックに洗練させて核に向かっていったような作品だ。ここにはいい歌しかない。いや、いい歌ってなんだ? 青空の下でお日様を仰ぐような歌か? 相手を尊びおのれを省みる、宗教のごとき美徳のような歌のことか? 違う! コートニーの歌は、相手にも自分にも感情的で…厳密には支離滅裂で、制御不能に陥ったむき出しの姿が曝け出されたものだ。でも、だからこそ、いい歌になる。彼女にとってのグッドソングはそうして自分を曝け出し、相手にも同等の覚悟を求めた末に産まれるものだ。自分と他者の関係を混濁させ、アンビバレントになればなるほどいい歌になっていく。

描こうとする目線がアンビバレントになればなるほど彼女の作品がグッド・ソングとして磨かれ垢抜けていくという事実は、しかしこれはもう、過去、ロック・ミュージックの長い歴史がそれまでに何度も証明していたりもする。コートニーが最も影響を受けたと自負し、アルバム『ホーセズ』再現ライヴを敢行もしているパティ・スミスしかり、ニルヴァーナのカート・コバーンしかり、もちろんある時期のボブ・ディランもそうだろう。しかしながら、作り手が、そして聴き手もまたそこに気づいた時、ロックはヘタに何かと合流することなく、ハイブリッドになることもなく、ただただ、ダイナミズムと強靭さだけを携えたまま洗練されていく。とてもしなやかなグッドソングとなって。

だが一方で、彼女は歴史学者、あるいは地域論者のような目線も持っている。ファースト・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』(2015年)を発表する前後だっただろうか、ポール・ケリーのことをリスペクトしているという話を耳にして、なるほどと膝を叩いた覚えがある。それからほどなくして、その二人がアーチー・ローチの曲「Charcoal Lane」をカヴァーする音源を聴き、コートニー・バーネットというアーティストの奥行きを実感した。そう、ポール・ケリーはコートニーの大先輩にあたるオーストラリアのシンガー・ソングライターで、アーチー・ローチはオーストラリアの先住民、アボリジニの音楽家。そしてもちろんコートニー自身はメルボルンを拠点とする、今最も世界規模で人気を集めるアーティストである。つまり、オーストラリアの大衆音楽の歴史を大らかに見渡すような懐の深さが彼女にあることに気づいた時、この人は最初から“オルタナ女子”なんてレヴェルじゃない地平にいることがわかった。

けれど、彼女はそうしたオーストラリア・レペゼンにさえ縛られないまま世界へと飛び出し、自身のルーツに真摯で忠実で、でもアンビバレントな感情を抑えようもなく、ただただどうしようもなくダイナミックなグッド・ソングで逆境の時代を突破した。そして、今、彼女はオルタナティヴとかインディー・ロックなんてちっちゃな枠組みなんかじゃおさまらない、正統派のロックでしかないという超強力な土俵の上で堂々と立つ。今、彼女の作品の横に並ぶのは、パティ・スミスであり、シェリル・クロウであり、あるいはブルース・スプリングスティーンでありニール・ヤングであり、あるいはブラック・サバスかもしれない。

2016年、ファースト・アルバムのツアー終了後に曲作りに着手。そしてニュー・サウス・ウェールズ沿岸中央にあるザ・グローヴ・スタジオに入るも、ピアノ相手に作った曲は、気がついたら全ての楽器を一人で演奏しながら完成へと向かっていた。プロデューサーは前作同様バーク・リード。その後、いつもの仲間を迎えてレコーディングを行った。10年ぶりの新作『オール・ナーヴ』を発表したばかりのブリーダーズのケリーとキムによるディール姉妹が参加しているのは、その『オール・ナーヴ』にコートニーが客演していることへのお返しか。確かにアルバムの中の多くは、いわゆるオルタナティヴ・ロックとしてカウントされそうな荒けづりなギター・ロックだ。だが、どの曲も大きな目線で歌へと結実させようとする意志の強さがある。たとえ歌っていることが支離滅裂でも、たとえ「I’m Not Your Mother, I’m Not Your Bitch」のような曲で暴発しようとも、いや、そうしたプロセスをそのままカタチにするからこそ、彼女の歌はオーセンティックなロック・ミュージックとして完成されていく。だって、これがロックじゃん、と言わんばかりに。

多くの音楽メディアでその年のベスト・ディスクの1枚に選ばれ、グラミー賞最優秀新人賞にもノミネートされた2015年のファースト・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』、カート・ヴァイルと発表した、あまりにラフなコラボ・アルバム『ロッタ・シー・ライス』に続くコートニー・バーネットのセカンド・アルバム『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』は5月18日に全世界同時発売となる。(岡村詩野)

◾️Courtney Barnett OFFICIAL SITE
https://courtneybarnett.com.au/

◾️Traffic内アーティスト情報
http://trafficjpn.com/artists/courtney-barnett/

Text By Shino Okamura


Courtney Barnett

Tell Me How You Really Feel

RELEASE DATE : 2018.5.18 Release


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