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フジロックにも出演決定! 〜自然体のまま社会に噛みつく、キュートで鋭利なシンガー・ソングライター=ステラ・ドネリー

13 March 2019 | By Nami Igusa

昨今の女性シンガー・ソングライターのロール・モデルとしての、コートニー・バーネットの存在感の大きさは、日に日に増すばかりだと感じている。その実感は、この新進気鋭のシンガー・ソングライターの存在によって確信に変わった。それが、オーストラリア・パースを拠点に活動、今年の《FUJI ROCK FESTIVAL》にも出演が決まっている、ステラ・ドネリーだ。フル・アルバムのリリースは先ごろ発売された『Beware of the Dogs』(2019年)が初。そのジャケット写真を見ればわかるように、まず第一に、めちゃくちゃかわいらしい。だが、そのルックスと、リリー・アレンにもよく似たキュートな歌声に「さぞや愛らしい楽曲が聴けるのだろう」と期待して、彼女のアルバムを聴き始めるのだとしたらーーリリー・アレンもそうだと言えるがーー痛い目を見ることになるから気をつけてほしい。ステラ・ドネリーの標的は、まさにそんな「女の子はかくあるべし」というような決めつけを持った貴方なのだから。

彼女はそのリリックで、旧態依然とした価値観やステレオ・タイプの押し付けに噛み付いて、鋭く“NO”を突きつけてくる。性犯罪で被害者のほうが責められることに怒りをぶつけ注目を集めた「Boys Will Be Boys」(2017年リリースのEPにも収録)や、前出のアルバム中もっともアップ・テンポな「Tricks」では、レイシズムに繋がりかねない盲目的な愛国心を引き合いに出しながら、「女の子にはこうあってほしい」という外野の要求に「ほっといてよ」と連呼するなど、その凄みはなかなかのもの。

ただ、彼女はそれらを単に辛辣に糾弾するわけではない。『Beware of the Dogs』のしょっぱなを飾る「Old Man」では、女性や子どもとの対話を蔑ろにする男性を、家庭で孤立している“オヤジ”に重ねて描き〈あなたは私が怖いの、ご老人?(Are you scared of me, old man?)〉とつつくあたりに、ウィットに富んだ批評性も垣間見せる。また、エモーショナルに歌い上げたかと思えば別の曲ではコミカルな歌い回しを聴かせたりとヴォーカルの表現の幅は広い上、楽曲もリアル・エステートなどを思わせる明るくアップ・リフティングなフォーク・ロック調から、ドラム・マシーンがビートを刻む曲まであり、表情豊かだ。そして何よりどの曲も、メロディが際立って良い。

自然体で“すっぴん”なソング・ライティングと、批評性を携えたリリック…こう見ていくとやはり、同じオーストラリア出身ということもあるが、とりわけコートニー・バーネットの存在こそが、ステラ・ドネリーがこうした強い批評性を持ってデビューするのにあたって、背中を強く押したのだろうと想像してしまう。“猛犬注意 (Beware of the Dogs) ”ーー女の子だって、男性社会の理不尽に噛み付いて、吠え立ててもいいじゃないか。ステラ・ドネリーを、侮るなかれ。(井草七海)

■Stella Donnelly Official Site
https://www.stelladonnelly.com/

■ホステス・エンタテインメント内アーティスト情報
http://hostess.co.jp/artists/stelladonnelly/

■FUJIROCKFESTIVAL ’19出演決定
https://www.fujirockfestival.com/

Text By Nami Igusa


Stella Donnelly

Beware of the Dogs

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