tofubeatsの音楽はいつも一種のチャーチ・ミュージックのように聴こえる。その音楽には、しばしば祈りの言葉があり、ヒーリングの感覚がある。もちろん、練りに練られたダンス・ビートの高揚感や、特徴的なかわいらしいメロディのメロウさ、というのも彼の音楽を何度も聴きたくなる理由ではあるけれど、その音楽から聴こえる親密で、半ば宗教的な瞬間に触れたいというのが、目下の最大の理由なのだ。
リリースからひと月経って、このメジャー・サード・アルバムをまたプレイしようと思う時にも、僕はその感覚を求めている。「CHANT #1」の言葉にも、「OPEN YOUR HEART」のグルーヴにも、「WHAT YOU GOT」のDJを求めるコーラスにも、より良く生きたい、というシンプルな願いが託されている。その意味では、多彩なゲストを招いた前2作と本作の間に、大きな差はない。「BABY」はラブ・ソングというより、J-POPの世界に根強く生み出されたこの”ゴスペル・アルバム”を象徴する一曲に聴こえる。『幻想のクラブ』は教会と同じように、シェルターであると同時に、万人に開かれているのだ。(坂内優太)