実にこれまでに9枚のアルバムをリリース。来日公演は今回で8度目となるケンタッキー州ルイヴィル出身のタラ・ジェイン・オニールは、名もなき労働歌が歌い継がれてきた昔から北米に息づく“うた”の歴史、伝統を受け継ぎ、その土壌を絶やさず支える最も重要なシンガー・ソングライターの一人だ。極端に言えば、例えばスフィアン・スティーヴンスのサポートなどを経て今や世界的な人気を獲得したセイント・ヴィンセントことアニー・クラーク、あるいは名門ドラッグ・シティから作品を出しつつもポール・トーマス・アンダーソン作品に女優として出演するようにもなったジョアンナ・ニューサム。彼女たちが今日のびのびと活動の半径を広げているのも、あるいはそうした北米で培われた“うた”の土壌がそうさせているのだろうとさえ思えるし、このタラ・ジェイン・オニールのような、決して派手ではないものの、時代の空気と社会の息吹にそっと寄り添った歌を綴る音楽家が長く活動を続けていけるのも、喜怒哀楽を受け止めてきたその大いなる土壌こそがそっと彼女たちの声を受け止めてきたからではないかと思う。
最新作『タラ・ジェイン・オニール』は彼女自身が体験した紆余曲折や挫折、絶望などをクリエイティヴィティへと静かに変換させた1枚だ。まるで社会の動きと符合したようなその苦いドラマを、今回の来日ツアーではトータスのジョン・ハーンドンがサポートで彩ることになっている。今のトータスは、もはやシカゴ音響系ではなく、新世代ジャズ・プレイヤーたちのお手本として再定義されるような存在だ。寡黙ながらもヴィヴィッドなその両者の邂逅をぜひ体験してほしい。
文・岡村詩野
TARA JANE O’NEIL JAPAN TOUR 2017
タラ・ジェイン・オニール ジャパン・ツアー2017
タラ・ジェイン・オニール、8度目となるジャパン・ツアーは、2017年3月に北米9公演を共演したトータスのドラマーとして知られるジョン・ハーンドンが同行し、日本だけのスペシャル・セットを披露してくれることとなりました。大阪、名古屋、金沢、松本、東京の5都市6公演、最新アルバム『Tara Jane O’Neil』でシンガー・ソングライターとして一層の深みを増した彼女のパフォーマンスにご期待ください。
タラ・ジェイン・オニールや私が世に出たころは、私たちが何者なのか、そして私たちがやっていることを名づける言葉はほとんどなかった。それでもなお、私たちはやり続けた。とりわけタラはパイオニアだった。その他大勢と同じく、私はただ彼女の中に見たものを追いかけただけだった。彼女が持ち合わせていた革新や存在についてのあふれるような自信や自然な主張を我が物にできることを祈りながら。90年代中盤にタラ・ジェイン・オニールとカムのライブを見た帰り道、私はそのときに見たタリア・ツェディックとタラ・ジェイン・オニールがギターで成し遂げたことを、ひとりの作家としてどうにか言葉にしてみようと心に誓ったことを決して忘れないだろう。 マギー・ネルソン
11月2日(木)大阪 ニューオーサカホテル心斎橋 地下1階(Grotta dell Amore)
大阪市中央区西心斎橋1-10-36 地下1階
出演:タラ・ジェイン・オニール+ジョン・ハーンドン(トータス)、中村佳穂
出店:ヤヱガキ酒造、MAHO-ROBA
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 3,500円(予約)/4,000円(当日)*ドリンク代別
予約:Cow and Mouse(cowandmouse1110@gmail.com|080-3136-2673)
11月3日(金・祝)名古屋 Live & Lounge Vio(052-737-7739)
愛知県名古屋市中区新栄2-1-9-B2F
出演:タラ・ジェイン・オニール+ジョン・ハーンドン(トータス)、アキツユコ
DJ:威力
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 3,500円(前売)/4,000円(当日)*ドリンク代別
予約:会場(kizawa@club-mago.co.jp)、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)
11月4日(土)金沢 もっきりや(076-231-0096)
石川県金沢市柿木畠3-6
出演:タラ・ジェイン・オニール+ジョン・ハーンドン(トータス)、Gofish
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 3,500円(前売)/4,000円(当日)*ドリンク代別
予約:会場(mokkiriya@spacelan.ne.jp|076-231-0096)、aotoao(windowofacloudyday@gmail.com|080-4259-5823)、tell me why(tellmewhysy@gmail.com|090-5688-6750)、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)
11月5日(日)松本 MOLE HALL(0263-88-5535)
長野県松本市深志1-2-15
出演:タラ・ジェイン・オニール+ジョン・ハーンドン(トータス)、yumbo、ASUNA、TANGINGUGUN
開場 4:30pm/開演 5:00pm
料金 3,500円(前売)/4,000円(当日)*ドリンク代別
予約:会場(www.molehallproject.com/2017-1105-tara-jane-oneil)、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)
11月7日(火)東京・渋谷 7th FLOOR(03-3462-4466)
東京都渋谷区円山町2-3-7F
出演:タラ・ジェイン・オニール+ジョン・ハーンドン(トータス)、寺尾紗穂
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 4,000円(前売)/4,500円(当日)*ドリンク代別
チケット:e+、会場、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)
11月8日(水)東京・渋谷 O-nest(03-3462-4420)
東京都渋谷区円山町2-3-6F
出演:タラ・ジェイン・オニール+ジョン・ハーンドン(トータス)、Phew、mmm+ju sei
出店:なぎ食堂
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 4,000円(前売)/4,500円(当日)*ドリンク代別
チケット:チケットぴあ(Pコード:346-120)、ローソンチケット(Lコード:76771)、e+、会場、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)
タラ・ジェイン・オニール(Tara Jane O’Neil)
米ケンタッキー州ルイヴィル生まれのシンガー・ソングライター/マルチ演奏家。現在はカリフォルニア州ロスアンジェルス在住。ポスト・ハードコア・バンドの嚆矢のひとつであるロダンのベース奏者等としてキャリアをスタート。バンド解散後もソノラ・パイン、ファルスタッフといった短命なグループで活動しながら、充実したソロ活動もスタート。ファースト・アルバム『Peregrine』(2000年)を皮切りにこれまで9枚のソロ・アルバムをリリースしている。その他、辣腕演奏家として、セバドー、アイダ、カム、マイケル・ハーレー、ジャッキー・O・マザーファッカー、パパMなど客演作品多数。日本にもたびたび来日し、二階堂和美との共作アルバム『タラとニカ』を制作、最新アルバム『タラ・ジェイン・オニール』にも二階堂和美作の楽曲「のりおりて」を日本国内盤ボーナス・トラックに収録するなど今でも親交が続いている。
ジョン・ハーンドン(John Herndon)
ニューヨーク州ロングアイランド生まれのドラマー/プロデューサー。ポスター・チルドレンのメンバーとして活動したのち、1990年にイレヴンス・ドリーム・デイのダグ・マッコームズとトータスの前身に当たるモスキートを結成。ポスト・ロックのパイオニアとして知られることとなるトータスの屋台骨を現在まで支える。並行してファイヴ・スタイルやザ・フォー・カーネーション、アップタイティといったバンドに関わり、さらに、1997年にはアイソトープ217°をトータスのジェフ・パーカー、ダン・ビットニーらと結成、現在のジャズ・シーンに繋がるような新しいジャズの形を提示する。さらには自身のソロ・プロジェクトであるア・グレイプ・ドープとしてエレクトロニックなビートメイカーとしての顔も知られている。現在はカリフォルニア州ロスアンジェルス在住。
■公演詳細
http://www.sweetdreamspress.com/2017/09/tara-jane-oneil-japan-tour-2017.html
企画・制作:スウィート・ドリームス・プレス
招聘:OURWORKS合同会社
共催:Cow and Mouse(大阪)、ヤヱガキ酒造(大阪)、Gofish(名古屋)、aotoao(金沢)、tell me why(金沢)、藤沢千史(松本)、Give me little more.(松本)
協力:map、P-Vine Records、HEADZ、WINDBELL、安永哲郎事務室、